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Re: 浅葱の夢見し ( No.119 )
日時: 2013/04/13 22:07
名前: いろはうた (ID: vpptpcF/)

*よるな触るな近づくなというカエデの思いもむなしく藪の向こうから現れたのは

弓を手に持ったトクマだった。

背中には小さめの矢筒を背負っている。

どうやら恰好からするとこんな森の奥まで狩りに来たらしい。

身を清めることを、もうここではできないのだと思うと、

トクマの登場が恨めしく思える。

そんなカエデには気づいた様子もなく、トクマはまっすぐ獲物に駆け寄った。

「おお!

 やっぱ近くで見ると大きいやつじゃん!

 今晩はいのしし汁で決定っと。

 ・・・お?」

ようやくカエデの恨めしげな視線に気づいたらしく、トクマが顔を上げてこちらを見た。

「・・・お、おお!

 おまえこのあいだの!

 てか、こんな所で何して・・・」

トクマの声がだんだんと小さくなってしまいには消えてしまった。

時が止まったように二人は動かなかった。