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Re: 浅葱の夢見し ( No.130 )
日時: 2013/04/14 23:53
名前: いろはうた (ID: vpptpcF/)

*・・・ああ。

・・・・・・どうしてこんなことになっているんだろう。

「ほら、巫女姫。

 口を開けて。

 あーん」

きらきらした笑顔でさじを差し出してくるヒレンをカエデはうつろな目で見つめた。

「ヒレン様。

 ・・・私、一人で食べられます」

「そんな寂しいことは言わないでくれ。

 私がこうしたいだけだ。

 いけないかい?」

ヒレンとカエデは、彼の部屋で夕餉をとっていた。

だが、何かいろいろとおかしなことになっている。

「いや、私の精神がもたない・・・じゃなくてヒレン様が大変でしょう!!

 それに私もいろんな意味で食べにくいです!!」

「そうか。

 君が食べにくいなら仕方あるまい」

ヒレンは残念そうに自分の席に戻っていく。

カエデは安堵の息を吐いた。

それにしてもヒタギにしても、ヒレンにしても

どうして人に物を食べさせるのがこんなにも好きなのだろうか。

「ねえ、今ヒタギのこと、考えていただろう?」

「ふへっ!?」

ヒレンの突然の言葉にカエデは目を見開いた。

箸を取りそこね、それが床に落ちる、からんっという乾いた音が部屋に響いた。

「いいいいいいいや!か、考えてなんか」

「ははっ。

 動揺してる動揺してる。

 ・・・これは、妬けるな」

「いやだから・・・」

図星だったのでしどろもどろになりながらも一生懸命

言い訳を考えようとする。

「それなら、やつの話でもしてあげようか」

「ヒタギ…の?」

ヒレンは穏やかな笑みを浮かべた。