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Re: 浅葱の夢見し ( No.184 )
日時: 2013/04/30 22:53
名前: いろはうた (ID: FLOPlHzm)

*話が進みません。


レイヤ:「…シキ様。

     おれとデートしてください」

シキ:「断る」


この会話が先ほどからずっと繰り返されているからです。

大臣も王様もジーニーもうんざりした表情を隠しません。


シキ:「何故、貴様のようななんの面白味もない男と

    ”でえと”しなければならぬのだ」

レイヤ:「……それはこちらのセリフです…」

カエデ:「そんなセリフないからね!?

     ていうか、シキ様もさっさと承認してください〜」

シキ:「いやだ」


……進みません。

話が全くと言っていいほど進みません。

仕方なく作者はトクマにあるカンペを持たせ、彼を送り出しました。


トクマ:「おーい!!

     巫女!!

     これ、お前が音読しろってさ〜」

カエデ:「お、音読!?」

トクマ:「ああ。

     なんか、すごくでかい声で叫ぶように言えって」

カエデ:「これ、カンペでしょ?

     黙読じゃないの?

     ……ていうかなんで?」

トクマ:「し、しらねーよ」

カエデ:「目が泳ぎまくっているんですけど」

トクマ:「じゃ、じゃーな!!」


家来逃走。

なんだかんだ言って、こういうところで読まなければいいのにまじめに大きなよく通る声で

音読するのが、このジーニーのいいところであり、損するところです。


カエデ:「えーと、なになに…

     『シキ様!

      レイヤとデートしてくれたら

      ご褒美に、ほっぺにちゅーしてあげますっ!!』

      ……ってはああああっ!!??」

シキ:「ほーう。

    言ったな。

    いいだろう。

    ”でえと”してやるぞレイヤ」

レイヤ:「……もったいなきお言葉…?」

ヒレン:「レイヤ〜

     そこ、疑問形にしちゃだめだからね〜?」

シキ:「巫女よ。

    どうせ口づけてくれるのなら、頬ではなく唇に———」

カエデ:「シキ様!?

     私、カンペ読み上げただけですよ!?」

シキ:「案ずるな。

    作者に罪はない」

ヒタギ:「どうしてくれよう…このくそ作者…」

ヒレン:「ヒタギ、隅っこでこの駄作者をどう殺(す)るか、考えようか?」

カエデ:「ヒレン様!?

     笑顔、史上最大級に怖くて黒いですよ!?」

レイヤ:「…シキ様。

     こんなこと、さっさと終わらせましょう」

シキ:「同感だ。

    さっさと”でえと”を終わらせて…」


にやりと姫らしからぬ笑みを姫は浮かべました。






あ、ほーにゅーわー

音響がかりであるトクマが音楽を流し始めました。


シキ:「…とは言ったものの、本当に貴様、面白くないな。

    空飛ぶじゅうたんにのっているというのに

    砂粒ほども楽しいとは思わぬ」

レイヤ:「…わがまま言わないでください。

     ……おれ、主人公のはずなのにそれほどジーニーとの

     絡みありませんでしたし…」


ぼやく二人を乗せて、じゅうたんは夜の空をとびます。


おしまい☆