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Re: 浅葱の夢見し ( No.237 )
日時: 2013/06/08 20:36
名前: いろはうた (ID: VHEhwa99)

*「…こうして邪魔者は追い払った。

 あとは、何をしたら話す?」

(怖い怖い怖い!!

 この視線直訳したら『さっさと何があったんか説明せえやごるあ』だよね!?)

背中を冷たい汗が流れる。

これは心配してもらっていると受け取ってもいいのだろうか。

夕日を浴びて代々に染まった緑の瞳はただ静かできれいだった。

「…絶対にそうだって、言えることじゃないけどそれでもいい?」

「…かまわない。

 話してみるといい」

レイヤの吐息が唇を包み込む。

それほどまでに二人の距離は近かった。

あごにかかる指が気になるが、

カエデはぽつぽつと霊力を感じたということを小さな声で告げた。

おそるおそるレイヤの表情をうかがってみる。

「…何故もっと早くに言わなかった」

やはりその表情からは何を考えているかはわからない。

だが声がわずかな焦りといら立ちを含んでいた。

「ご、ごめんなさい…」

「…謝罪をしろと言っているのではない。

 トクマを追い払ってしまったのは間違いだったな。

 …行くぞ」

がっと手首をつかまれた。

レイヤはそのまま速足で人ごみの中を縫うように進んでいく。

その背中からは緊迫した空気が漂っている。

あわててその背中に駆け寄る。

「レイヤ!

 でも、でも、気のせいかもしれないし…!」

「…お前の霊力は並みのものではない

 案ずるな。

 おれも、霊力はあまり感じ取れないが、後ろから何者か…複数名が

 追ってきているのは感じる」

その言葉に、カエデは体をこわばらせた。

できることなら、間違いであってほしかった。

レイヤは小さな声でカエデにささやきかけた。

「…しばらくはおれがひきつけておく。

 おまえはつり橋のところで待ってろ。

 半刻(三十分)してもおれが帰ってこなかったら、おまえ一人で四鬼ノ宮まで帰れ。

 …できるな?」

「レイヤ、でも…!」

「…案ずるな」

するりとレイヤの手が離れる。

カエデはいつの間にか一人で人ごみの中で立っていた。