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Re: 浅葱の夢見し ( No.247 )
日時: 2013/06/11 06:57
名前: いろはうた (ID: VHEhwa99)

*今の見えない斬撃。

霊力を練りこんで作る、風術のものだ。

レイヤの体に自らの体を押し付けるようにしながら、

術者はどこにいるのだろうかと視線と感覚だけで探る。

だが、感じられない。

また消えた。

おそらく気配を消しただけで、まだ近くにいるに違いない。

言霊で攻撃を弾くわけにもいかないので、油断できない。

カエデは慎重にあたりをうかがいながら、レイヤの顔をのぞきこんだ。

「レイヤ、けがは……あれ?」

…目線を合わしてくれない。

合わせようとその瞳をのぞきこもうとすると、ふいっとあらぬ方向を向かれる。

もう一度のぞきこもうとしてもまたしてもそっぽを向かれる。

カエデは今の状況を忘れて困り果ててしまった。

レイヤが何に対して怒っているのか全く見当がつかない。

無理やり押し倒したのが悪かったのだろうか。

「…レイヤ・・・?

 あの…重いなら…ごめん…。

 すぐにどけるから…」

「………しばらくこのままでいろ」

「それならいいけど…って、え?」

レイヤが言った言葉を頭の中でなぞってみる。

相変わらず、カエデと視線を合わそうとしてくれない。

「……」

レイヤを押し倒したときに、彼は地面に頭を激しくぶつけたのだろうかと

カエデは本気で心配になってきた。

「レイヤ…?

 っきゃ!?」

二本のたくましい腕が背に回り、きつく抱きしめてきた。

「れれれれれれレイヤ!?」

「…黙ってこのままでいてくれ」

相当打ち所が悪かったのだろうかと思っていると、

ぐるりと視界が反転した。

今度はカエデが押し倒されているような格好になった。



ずががががっ



つい先ほどまで自分たちがいたところに数本の小刀が

鈍い音をたててつきささった。