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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 浅葱の夢見し ( No.248 )
- 日時: 2013/06/11 22:54
- 名前: いろはうた (ID: VHEhwa99)
*レイヤはしなやかな動きで身を起こすと、カエデを抱えたまま
すばやく上にとびあがった。
半拍後、再び数版の小刀が地面に突き刺さる。
彼は振り向きざまに刀を抜き放ち、とんできた小刀を全てそれで弾いた。
風切り音と共に、甲高い金属音が続けざまに鳴り響く。
耳が痛い。
空気が震える。
レイヤに己の体を押し付けているので、決して軽くはない衝撃が直に伝わる。
明確な意志を持った攻撃。
体が、唇が震えた。
「れ、いや…」
「舌をかみたくないのならば、少し黙っていろ!!」
姿が見えない敵からの攻撃に、レイヤは苦戦していた。
レイヤは両刀使い。
飛び道具が相手だと一気に不利になる。
敵もレイヤの腰にある刀をを見てのこの戦法だろう。
しかも片腕にカエデを抱えているため、刀は一振りしか使えない。
「…いいか。
よく聞け」
つり橋の方に駆けながらレイヤはせわしない口調で言った。
「…おまえはつり橋を渡ってすぐに四鬼ノ宮に戻れ」
「レイヤ!
何で!?
私も一緒に———」
「こいつらはおまえを狙っている!!」
至近距離でどなられカエデはレイヤの腕の中でびくりと体を震わせた。
それに気づいたかのように、彼は少し声を落とした。
「…先ほどの攻撃はすべておれを狙ったものだった。
おおかた邪魔なおれをさっさと消してから、おまえをさらうつもりなのだろう」
景色が後ろに流れ、どんどんつり橋が近づいてくる。
現実と共に。
これがハルナの身代わりになるということ。
これが力ある者として狙われるということ。
これが現実。
風が冷たく頬を打った。
「…おれが食い止める。
その隙におまえは…逃げろ」
その言葉を聞いた瞬間、ふわりと地面におろされた。
目の前にはつり橋。
振り返ればレイヤはすでに駆けだした後だった。
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