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Re: 浅葱の夢見し ( No.344 )
日時: 2013/09/03 00:16
名前: いろはうた (ID: jhXfiZTU)

*(…あれ?)

ヒタギはそっぽを向いていた。

さらには彼の頬に添えていた手までつかまれて、引きはがされた。

「…あ」

カエデは眉根を下げた。

拒絶されたみたいで、寂しくなる。

「…巫女姫」

「…うん」

おまえの力など必要など必要ない。

そう言われるのだろう。

そう思い、目を伏せた。

「…おれの理性にも限界がある」

「…うん。

 ………………う、うん…?」

見ればヒタギの頬に朱がさしていた。

「み、見るんじゃない!」

そんな顔でどなられても全く怖くないのに、とカエデはまばたきをした。

その様子がむしろどこか可愛らしくて、彼女は思わず笑みをこぼした。

「見るんじゃないと言っているだろう!」

「え、ひゃっ」

背に強い腕がまわり、体が一気に浮き上がる。

次の瞬間にはヒタギの腕の中にいた。

「ひ、ヒタギ!?」

今度はカエデが赤くなる番だ。

ぎゅう、と頬を彼の滑らかな胸板に押し付けられている。

確かにこれではヒタギの姿が見えない。

「…お、おまえはなんだ。

 一体なんなんだ」

押し付けられた胸板はたくましくて、しびれてしまうくらい熱くて、頭がくらくらした。

「…こうまでしておれをかき乱して何がしたい?」

「し、してない!

 というよりも、離して!!」

「無理だ。

 今お前を離そうとしたら、まちがいなくお前を押し倒す」

「そっ、そんな!?」

ヒタギの声が確信に満ちていて、カエデは上ずった声を上げた。