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Re: 浅葱の夢見し ( No.39 )
日時: 2013/03/31 22:50
名前: いろはうた (ID: vpptpcF/)

*「どうした。
  
どこか具合が悪いのか?」

心配そうな声に力なく首を横に振る。

そして、縦に振った。

今日の自分はおかしい。

変なことばかり考えている。

「そういうことなら早く言え!」

急に声を荒げると、ヒタギは素早くカエデを抱えた。

そして、そのままの勢いで部屋を出ていく。

あまりにその行動が唐突だったので、カエデは声も出
せなかった。

ひんやりした空気が肌を撫で、カエデははっと我に返
った。

「ちょ、ちょっと!」

「今は、おとなしくしていろ」

その間も、ヒタギの長い脚はよどみなく動き、周囲の
景色が流れていく。

「どこにいくの?」

「寝に行く」

「は?」

「寝るために別の部屋に行く」

「あの、いや、言い方を変えろってことじゃ・・・」

あの部屋は、寝室じゃなかったのか・・・。

(・・・じゃなくて!)

「・・・ねえ」

「なんだ」

「自分で歩けるから、まず降ろし———」

「断る」

音がしそうなほど、きっぱりとした返事だった。

一瞬返事を返せなかったが、カエデは何とか立ち直っ
た。

「・・・ま、まさか、寝に行くって・・・あな
た・・・」

「ヒタギだ」

「・・・・・・・・・」

いい加減この男もしつこい。

「・・・ヒタギ・・・私と一緒に寝たり・・・しない
よね・・・?」

「当然だ」

ほうっとため息が出た。

「よかった・・・」

「ああ、安心しろ。

 一晩中お前のそばにいて、看ていてやる」

かぱっと口が勝手に開いた。

一晩中看病とは、一緒に寝るのとほとんど変わらない
ではないか。

何が安心しろだ何が。

何よりも、カエデは今、看病が必要なほど、重い病に

はかかっていない。