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Re: 浅葱の夢見し ( No.394 )
日時: 2013/08/28 23:05
名前: いろはうた (ID: jhXfiZTU)

*「迎えに来るのが遅くなったのは謝る。

 こいつの仕込みに手間取ってたんだ」

そういうと、ホムラは懐から何かを取り出した。

白い、人型を模した、一枚の紙切れ。

「これは?」

「おまえそっくりに化けられる式神。

 作るの大変だったんだぜー」

人間そっくりに化けることができ、話すことも動くこともできる高等式術の式神の存在は

聞いたことがある。

「でも、それって、対象となる人の髪が必要でしょう?

 私の、いつとったの?」

ホムラはふてくされたように横を向いた。

「おまえの頭から直接引っこ抜いたわけじゃねえよ。

 おまえが来ていた着物からとった。

 なかなか見つからないから焦った焦った…。

 しかも、はたから見たら、女物の着物をあさる、

 ただの変態にしか見えなかっただろうしな、おれ…」

カエデは目をぱちくりさせた。

知らない間にそんなことがあったとは。

「よし、あとはこいつに術をかけたらここを出るぞ。

 ほら、手」

ホムラが笑顔で手を差し伸べてくる。

夜風が髪を揺らす。

ちりん、という涼やかな音が耳元で聞こえる。

銀細工の髪飾り。

ヒタギの顔が脳裏をよぎる。

カエデは目を見開いた。

手が、動かない。