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Re: 浅葱の夢見し ( No.463 )
日時: 2013/10/12 22:07
名前: いろはうた (ID: jhXfiZTU)

*暗闇の中、一人で、私は立っていた。


長い銀の糸のような私の髪が足に絡みつく。


視界をよぎるのは浅葱色の花びら。


柔らかな浅葱色の花弁がはらりはらりと舞い落ちる。


なんて鮮やかで美しい色なのだろう。


切なくなるほど鮮やかで、残酷なまでに美しい。


恋するようにひたすら見つめ、焦がれた。


闇の中、悲しみの欠片が舞う。


手を伸ばして、それを掴もうとする。


けれども、届かない。


指先をかすりそうになって、また離れる。


透明な水晶の雫が、目から零れ落ちた。


私は、哀しいのか。


私は、泣いているのか。


強い風が下からふき上げた。


透明な雫が、浅葱の花弁とともに風に遊ばれ散っていく。


銀の糸が風に舞い踊る。


———あれは、私の哀しみの欠片。


わけもわからず手を伸ばした。


指先を浅葱色がひらめいてはすり抜けていく。


いくつもの、私の哀しみの欠片。


届かない。


やがて、浅葱色は視界を埋め尽くした。


ひたすら、浅葱色だけが私を包む。







ああ、なんて美しいんだろう。


———なんて、美しくて————哀しいんだろう。