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Re: 浅葱の夢見し ( No.57 )
日時: 2013/03/27 11:00
名前: いろはうた (ID: vpptpcF/)

*むかしむかし、あるところに赤ずきんちゃんという女の子が、
お父さんとお母さんと一緒に暮らしていました。
ある日、赤ずきんちゃんはお母さんに、町に住むおばあさんのところに
おつかいに行ってきてほしいと頼まれました。

カエデ:「あねう・・・じゃなくてお母様。
     私はヒレンさ・・・じゃなくておばあさまにどんな手土産を
     持っていったらいいでしょうか」

ハルナ:「か、カエデ!
     ああ、赤ずきんのような役、できるなら、わらわが代わってやりたい!
     そのような役はオオカミに食われるのではなく、
     襲われてしまうのじゃ!」

カエデ:「え・・・ええ・・・?」

ホムラ:「ハルナが赤ずきん役?
     無理無理!
     ハルナが赤ずきんなんてやったら、オオカミに襲われそうになったら、
     オオカミを槍でぶちのめしちまうだろ〜。
     カエデなら、そこんとこ、うまくやってくれる。な?」

カエデ:「う、うん・・・」

ハルナ:「ならば、仕方あるまい・・・。
     さあ、これをあの憎いばばあのもとへ、もっていくのじゃ!」

そう言って、お母様が渡してくれた籠の中には、紫色の日本酒と青と黒のまだらに染まったりんごが
入っていました。

カエデ:「これりんごなの!?
     どう品種改良したらこんな色になるの!?
     ていうか、お酒の色おかしくないですか!?」

ハルナ:「なーに。
     あのいまいましいばばあなら、このようなものではてぬるいくらいじゃ。
     心配などいらぬよ」

カエデ:「そ・・・そうなのですか?」

ホムラ:「ああ。
     あのばあさんは、鉄の胃袋を持つ男と言われているんだぜ!」

カエデ:「はあ・・・」

ハルナ:「くれぐれも、気を付けていくのだぞ。
     まず、オオカミと話をしてはいかん。
     見てもいかん。
     オオカミを見たら、顔をそむけたまま、すばやく立ち去るのじゃ。
     しつこいようなら、このりんごをオオカミの口に入れてやるのじゃ」

カエデ:「やっぱり、毒が入っているんじゃ・・・」

ホムラ:「毒は入れてねえよ?
     ちょっと影水月秘伝の薬で煮込んだだけだ!」

カエデ:「私、今初めて、影水月秘伝の薬の存在を知りました・・・」

ハルナ:「細かいことは気にするでない。
     とにかく、襲われそうになったらこのりんごを
     相手の口の中につっこむのじゃ!」

カエデ:「わ、わかりました、あねう・・・じゃなくてお母様!」

ホムラ:「気をつけて行けよ〜」

カエデ:「はい!
     行ってまいります!」

赤ずきんちゃんは、元気よく家を出発しました。