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Re: 浅葱の夢見し ( No.70 )
日時: 2013/03/30 16:18
名前: いろはうた (ID: vpptpcF/)

*トクマ:「よーう!
      この間の巫女じゃん!
      ヒタギ様、探してんの?」

カエデ:「だ、誰が、すき好んでオオカミのもとにいくものですか!
     私は、おばあ様にこの、りんごとわいんとやらを届けに行くの」

トクマ:「おばあ様・・・って・・・。
     ああ!
     ヒレン様のことな!」

カエデ:「ヒレン様じゃなくて、おばあ様です!
     そういうあなたはなにしているの?」

トクマ:「・・・・・・りんご売りの町の人A・・・」

カエデ:「え?
     なんて言ったの?」

トクマ:「な、なんでもない!
     おまえ、ヒレン様に何もってくの?」

カエデ:「これよ」


そう言うと、赤ずきんちゃんは、籠の中身を見せました。


トクマ:「・・・・・・」

カエデ:「どうしたの?」

トクマ:「・・・これ、ヒレン様に渡すかんじ?」

カエデ:「ええ、そうよ。
     なにか問題でも?」

トクマ:「問題ありまくりだっつーの!
     おまえの姉貴、いい性格してやがんな・・・。
     おれだったら、ヒレン様にこんなもの渡した瞬間、精神を壊される・・・」

カエデ:「姉上のこと、悪く言わないでよ!」

トクマ:「褒めてるよ・・・。
     おれだったら、絶対こんなことできない。
     とりあえず、その籠よこせ」

カエデ:「なんで!?」

トクマ:「いいから!  
     別のやつ、やるから!
     そんなの渡したら、おまえの身が危ないっての」

カエデ:「このお酒は、影水月秘伝の薬で煮込んだ大切なものよ!?」

トクマ:「その、秘伝ってところがいかにもって感じで、うさんくさいな、おい!
     いいから、こっちによこせって!
     あきらかに、両方とも猛毒につけこんだかなんかしただろ!」


りんご売りのお兄さんはそういうと、普通の色をしたりんごと毒々しくない紫色の葡萄酒を
籠の中の不気味なものたちと入れ替えました。

カエデ:「あああ!
     せっかく姉上が持てせてくれたのに〜」

トクマ:「おれ、おまえを助けてるのに、なんで涙目になるわけ!?
     罪悪感はんぱないんだけど!」

カエデ:「私を、助けてくれたの?」

トクマ:「はあっ!?
     いや、その・・・だな・・・
     べ、別に助けたとかそういうのじゃなくて・・・。
     ひ、ヒレン様のおなかが心配になっただけだ!」

カエデ:「ホムラ兄様は、ヒレン様は鉄の胃袋を持つ男だって
     言ってたのに?」

トクマ:「・・・あながち、間違っていない。
     あの人は、毒が入っていようがいまいが関係なく食べて、
     けろりとしてるからな」

カエデ:「なんか、言った?」

トクマ:「なんでもないって!
     んじゃ、気を付けて行けよ〜
     ・・・特にヒレン様にな」


そう言うと、リンゴ売りのお兄さんは赤ずきんちゃんを
送り出しました。