コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re:エビフライと霊符 ( No.11 )
- 日時: 2013/02/17 17:42
- 名前: コーラマスター ◆4oV.043d76 (ID: Ug45cB3V)
「あー寒い。何で俺がこんなことを・・・コーラ飲みたい。」
「あなたはいつでもコーラのことばっかりですね。」
エビフライがあきれながら言う。だってコーラ美味いし・・・
俺は、正月の朝っぱらだというのにエビフライの
陰陽師修行につきあわされていた。
霊符とかいう札の書き取りをするんだとか。
「では、始めますよ。まずはコレを着てください。」
エビフライが白装束を出す。あの、陰陽師がテレビとかで着てるヤツ。
というかどこから白装束出したんだ?
前もおこたを消したこともあったし・・・。
あれか?某家政婦さんのあれか?それとも某ロボットのポケットか?
そもそも服もポケットも着てないが・・・。
「あれ?どうしました?」
エビフライが不思議そうに訊いてくる。
「ああ、なんでもない。
あ、あとさ、前から不思議に思ってたんだけど、
お前ってどうやってしゃべってんの?」
エビフライの声は、テレパシーみたいに
心に語りかけてくるって感じじゃない。
「あ、これですか?これはですね、話しやすいように改良された
意思疎通術もといテレパシーですね。
霊感がある人と限られてはいますが普通に話すことができます。
テレパシーと違ってほかの者に聞かれるという欠点はありますが、
このごろはテレパシーでさえ盗聴されることがありますから。
ちなみに、式神の95パーセントはこの術が使えるといいます。
それから妖怪などは・・・。」
「もういい。わかったから。」
話が長すぎる。きかなきゃよかった。
「では気をとりなおして、白装束着ましょう。」
エビフライが白装束を押し付けてくる。もう忘れたと思ったのに。
____半強制的に白装束を着せられた。
テレビで見るぶんにはかっこいいんだが、
自分が着てみるとはずかしい。
まあ、私服の上から着たおかげで
そんなに寒くなかったのが幸いだった。
「おお、陰陽師らしくなりましたね。
これで、修行に気合もはいるでしょう。」
「え?これって気分の問題なの!?
気分の問題でこれきせられたの!?」
「そんなことありませんよ。術者の気分は術にかかわってきますし・・・
そもそも妖怪も精神の塊ですからね。」
エビフライがまたややこしいことを言った。
「術者がはずかしがっていれば術なんて成功しない気がするんだが。」
「まあまあ。では、小川に水汲みにいきましょうねー。」
え?ちょ、何?この寒いなか、川に水汲みに行けと?
「いやいやいやなんで霊符書くために川に行かなきゃならないの!?
しかも俺こんな格好で外に出るの嫌だからな!?」
「じゃあ仕方ないですね。」
良かったぁ。あきらめてくれたと思いきや・・・
「あまり使いたくありませんでしたが、仕方ありませんね。」
何?まさか無理やり連れて行く気じゃ・・・
「『瞬間転位』」
といった瞬間、エビフライが俺もろとも川原に移動する。
予想的中!寒い!寒すぎる!!
「さ、早くこのコップに水汲んで帰りましょう。」
またエビフライがどこからか透明なコップを出す。
だからどこからそれを出してるんだよ!
そう思いながら透き通るように冷たい小川から水を汲む。
このあたりの小川はじいさんばあさんの活動で、
そこらの川よりは綺麗になっている。
そのおかげで手をつっこむのに抵抗は無いが、とにかく寒くて冷たい。
___とりあえず水を汲み終わった。
「よし!じゃあ帰るぞ!あの術を使ってくれ!」
誰も見てないからいいものの、こんな格好で歩き回るのははずかしい。
場合によっては丑の刻参りと間違われるかもしれないし。
「え?術なんて使いませんけど?」
え?術を使わない?
「まさか家まで歩いて帰れとは・・・」
「正解です♪」
ちょっと待て。ここって家まで結構な距離だぞ?ってことは・・・
「家まで歩くまでに誰かに会うかもしれないじゃん!」
「大丈夫ですよ。今はまだ4時半ですよ?
誰も起きてないですって。」
4時半って!俺どんだけ早く起こされたんだよ!
「では帰りますよ。」
エビフライに言われ、家に帰る。
寒すぎて困る。寒い。コーラ飲みたい。コーラがぁ。コーラぁぁ。
コーラをよこせぇ。こーらァァァ。やばい、禁断症状が・・・
その後もこんな感じなんで省略。
___とりあえず、家に着くまで誰にも会わなかった。
「さあて、ゆっくりするか。」
ふう、やっとベットで眠れる。いや、おこたもいいかな・・・
「あれ?何か勘違いしてません?修行はこれからですよ?」
「え?まさか霊符の書き取り・・・。」
「そうですよ。」
ええええええええええええぇぇ。まだあるのかよ!
「では、その汲んできた水飲んでください。」
「いやいやいや、これ川の水だぞ!?飲むの!?」
いくら綺麗な水だからってどこかの名水じゃないんだからさ!
「あなたは水の術者ですよ?飲んでも問題ありませんって!」
「俺そんな凄い術者じゃないから!」
- Re: コーラと霊符と陰陽師 ( No.12 )
- 日時: 2013/01/06 10:43
- 名前: コーラマスター ◆4oV.043d76 (ID: Ug45cB3V)
「だから、なんで霊符書くのに水飲まなきゃならないんだよ!」
俺はキレぎみに言った。絶対に川の水だけは飲みたくない!
「良い霊符を書くには朝早く汲んだ水を飲む必要があるんです。
朝早くに汲んだ水には霊力を高める作用がありますから。
まあ、書く人の霊力が強かったり、綺麗に書けていれば、
霊符はしっかり効果を発揮しますけどね。
とにかく、一般人や初心者が霊符を書くときは、
朝一の水を飲むのが一番ですね。そもそも、朝一の水は・・・」
出た。エビフライの長い豆知識。
こうなると俺はもうなにも反論できない。
怒っていたこともすでに忘れていた。
「・・・わかったよ。わかりましたよ。飲めばいいんでしょ、飲めば!」
俺はあきらめて水を飲んだ。案の定美味くはない。まずくもないが。
別に体から力が湧き出てくるってわけでもない。
これならコーラを飲んだほうが良かったような・・・
「では、このお手本を見ながらこの紙に書き写してください。」
エビフライがどこからか妙な記号を書いた札と白紙の札を出した。
またこのパターン。もう慣れっこだが、やっぱり少しビビる。
「あ、筆と墨を忘れてました。これじゃ書けないですね。」
エビフライがテヘッとでも言いたげにつぶやいた。
いいから早く筆と墨を出せって。
「___はい、どうぞ。」
エビフライが筆と墨のはいったビンを出した。
俺は黙々と墨に筆をつけ、黙々と霊符を書き写す。
無念無想なおかつ筆に心を籠めて書く。
冷静に筆を動かし、手本に少しずつ近づけていく。
「___書けたぁ!!!」
あ、あんまり嬉しすぎてつい声が出ちまった。
どっちにしろ今日の修行は終わり!コーラが飲める!
「なんですかこの霊符。本当に見ながら書きましたか?」
エビフライが俺の霊符を見て、あきれたように言った。
なんか最近冷たいような・・・。
かといってエビフライに好かれるのも嫌だが。
「仕方ないだろ。俺は習字が苦手なんだよ!」
かっこつけて『無念無想』とかやってみたけど、実際へたくそだし。
「まあ、大丈夫ですよ。
この霊符にもそこそこの霊力が入っていますから。」
エビフライが水を汲んだおかげとでも言いたそうに言った。
「そうなら最初から嫌味を言うなよ。」
世界初!嫌味を言うエビフライに認定したいぐらいだ。
というかこの修行いつ終わるんだ?
「まあまあ。もう少しで修行も終わりますから。」
エビフライがなだめるように言った。
「言ったな。もう終わるって言ったな?」
やったぁ。『もう終わる=コーラを飲める』コーラ!コーラ!!
「言いましたけど?でももう少しとも言いましたよ?」
・・・つまり、まだ終わらないってことかぁっ。
「で、何をするんだ?」
「片付けにきまっているでしょう。
陰陽師にとって身の回りを清めることは大切ですから。」
エビフライが当然というように言ってくる。なんかむかつく。
「じゃ、この霊符はどうするんだ?」
まさかあんなに一生懸命書いたものを捨てろとは言わないよな?
「霊符は私が預かっておきます。
ではこの部屋の片付けをお願いします。」
エビフライが霊符をひったくりながら言った。
え?筆の片付けじゃなくて部屋?このちらかった部屋の片付け?
「いやいやいや無理だろ!こんなに汚い部屋だぞ?」
ゴミが散乱しているし、ほこりもたまっているしもう汚くて汚くて。
「陰陽師なんですから身の回りの整頓ぐらいしてくださいよ。
そもそも大掃除のときに自分の部屋を
掃除しなかったからこうなったんですから。」
確かに自分の部屋を大掃除のときに掃除しなかったのは本当だが…。
「では、掃除の三点セットを貸しますからそれで掃除してください。」
エビフライが箒と塵取りとゴミ箱を出した。
これって掃除の三点セットっていうのか?
とにかく、俺は掃除をすることになった。
「そこにゴミがあります!あっちにも!ここにも!
ダメダメ!もう少し考えてください!」
まったく人使いの荒いエビフライだ。
式神が主人に命令するなんて聞いたことも無い。
「はいはい、休まないでくださーい。」
__その日俺の家からは
「だからコーラを飲ませろおぉぉぉ!」とか「もう掃除はいいだろ!」とかいう叫び声が聞こえたとか聞こえなかったとか。