コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 恐いこと言うなよ!! ( No.28 )
- 日時: 2013/01/24 19:29
- 名前: コーラマスター ◆4oV.043d76 (ID: Ug45cB3V)
「こんにゃろぉぉぉぉ!!いい加減にしろぉぉ!!ハァハァ・・・」
穴に落ちて30分ほど。さすがの俺も声が枯れてきた。
え?なぜあの転位の術を使わないのかって?
それはだな、あの術をエビフライに教えてもらったときに、
「あ、あと言っときますけどこれは位置を変える術ですからね。
もし失敗したら空間のハザマで一生さまようか、
時空の動きでバラバラに引き裂かれると思ってください。
まあ、あなたに限ってそんなことは無いでしょうけど。」
と言われたからだ。
そう言われてまでやれるか!?そんな恐いこと言われてやれるか!?
やれないわこのヤロー!!しかも数十mも移動したこと無いし!!
さっきみたいな3mぐらいなら恐がらずにできるけど!
俺は自分が出せる声を全部出しきった。
「ああ、もう最悪だああぁぁぁぁ!!!!!!」
!が6つもあるからな。相当な声だぞ、多分。
すると、穴の上からあのエビフライの呆れたような声が聞こえてきた。
エビフライの声はテレパシーの改良版を使ってるから不思議と声が通る。
「こんなところで何してるんですか。大きな声を出して。
近所迷惑ですよ?もう少し考えてください。
スマホとかいうものとか意思疎通術とか『烽火』とか色々あるでしょう。」
いつも思ってたがエビフライの肺活量凄いな。息継ぎしてない。
あ、テレパシー使ってるから関係ないか。
「エビフライ、来てくれたのか・・・助けてくれ・・・。
あとスマホは家に忘れた・・・意思疎通術は使えない・・・
烽火も燃やすものとライターが無いからダメだ・・・。」
俺がガラガラのしわがれた声で言った。
ああ、でもこんな小さい声じゃダメか。
「ご主人、他にも出来ることあるでしょ?
ほら、この前転位の術教えたじゃないですか。
あれ使えばすぐ抜けられるでしょう。」
あ、聞こえてるな。コイツ耳も良いんだな。やっぱ凄い。
こいつ自分が言ったこと忘れてるな。引き裂かれるとか言っておいて。
「この前、もし失敗したら一生ハザマを彷徨うことになるって言ってただろ!?
あれが恐くて出来なかったんだよ!」
あれ、エビフライがいると声が戻ってくるな。何でだ?
「ああ、あれですね。確かに失敗したらって言いましたけど、
あの術は失敗率はかなり低いんですよ?
それに術者の霊力が高いほど失敗する確率は下がりますし。
転位する距離が数十mほどなら失敗するなんてほぼ0%です。」
なんですとぉぉぉぉぉぉ!?
- Re: ツッコミに迷惑も何も無い! ( No.29 )
- 日時: 2013/01/27 12:08
- 名前: コーラマスター ◆4oV.043d76 (ID: Ug45cB3V)
「数十mほどなら失敗する確立はほぼ0%です」
俺はエビフライの言葉に開いた口が塞がらなかった。
俺が今まで声がガラガラになるまで叫んだのはいったい・・・。
もうなんかエビフライがすごく怨めしくなってきた。
俺が落とし穴の上に向かって言う。
「じゃあ何でわざわざあんな恐ろしいこと言ったんだよ!?」
まさか俺を驚かせたいからとは言わないだろ。
「そうでも言わないとすぐに転位の術使うでしょ?
登校とか駄菓子屋にコーラを買いに行くときとか」
ぐ、当たってやがる。
俺が転位の術教わったときにそういうこと考えてたんだよな。
そんなことまで分かるとは・・・エビフライ、蝦のくせになかなかやるな。
「・・・まあ、ご主人の驚いた顔が面白いということもありますけどね」
前言撤回。『エビフライは悪戯も好き』メモメモっと。
エビフライが思い出したように言った。
「あ、忘れてましたけど落とし穴から上がって来ないんですか?」
「やべぇ、忘れてた」
かなり大事なことを忘れてていた。おっそろしい。
とにかく、落とし穴の外に意識を集中・・・。集中・・・。
ヒュウウンッ!という音ともに落とし穴の外に移動。
「よっしゃあぁ!!やっと出られたあぁ!!」
あんまり長く暗い穴の中にいたから、周りが眩しく感じる。
「近所迷惑ですよ。あんまり大きな声を出さないでください」
周りを見渡すと、エビフライがカップラーメンに浸かっている。
「いやいや、『近所迷惑ですよ』じゃねーよ!
なんでカップラーメンに浸かってんだよ!?鬼○郎の父さんか!」
「だって〜あったかいんですもん。それにおいしいですし。」
エビフライが平然と答える。どういう神経してるんだコイツは!?
「ラーメンがあったかいとかおいしいとか認めるけど、
それに浸かるのはおかしいだろ!?」
「おかしいなんて固定概念にとらわれていてはまだまだですね。
それに流行るかもしれませんよ。『カップラーメンの新しい使い方』」
「流行らねーよ!普通の人間そんなカップに入れないから!」
エビフライってかなりの常識人だと思ってたが・・・。
あ、そもそも『人』じゃなかった。
「だから近所迷惑ですって。聞かされる方の身になってください」
エビフライが飲み干したカップラーメンを捨てながら言った。
なんか話を摩り替えられた気がする。
「まあ、いいや。コーラ飲めるんなら」
俺は自販機の前に立った。そしてサイフを手に持った瞬間___。
べチャッ!俺の背中に何か液体のようなものが付いた。
「うわ!なんだ!?」
見れば背中に大量のマヨネーズが付いている。こんなことするのは、
「エビフライ!今度はマヨネーズ飛ばしやがって!!
前はごま油だったぞ!!どんだけバリエーション豊富なんだよ!」
今までに焼肉のたれからケチャップから色々なものが俺に飛んできた。
ほとんどお約束になっている。
「57種類ですかね」
エビフライが本を読みながら言う。真面目に話を聞けよ。
「じゃなくてなんで俺にマヨをかけたんだよ!
おかげで服がベチャベチャじゃねーか!」
「・・・はるはあけぼの」
「なんで枕草子読んでんだよ!?あと話を聞け!!」
「いいじゃないですか。素晴らしい文章ですよ」
エビフライが本をパタンと閉じながら言った。そしてどこかにしまう。
いつものことだがやっぱり不思議だ。
「ってもうそれはいいからこのマヨをどうにかしろ!!」
「わかりましたよ。・・・ハイ落ちました」
エビフライが尻尾を振り、それと同時にマヨが消える。
これもまたいつものこと。もうとっくに慣れた。
「では、帰りましょうか」
エビフライの声と共に自転車に乗り込む。
何か忘れてる気がする。まあ気のせいだろ。と思ってたら、
「ちょっとアンタ、待ちなさい」
俺の目の前に立ちはだかったのは____。
三人のクレーマーおばさん!!やば、このままじゃクレームを・・・。
転位の術は人に見られたらダメだし・・・。
「ほらほら大きい声で騒ぐからこういうことになるんですよ。
いったいどうするんですか」
エビフライが馬鹿にしたように言った。
エビフライの声もおばさん共には聞こえない。
仕方ない。俺が小声で言う。
「エビフライ、俺が転位の術使うからおばさんの記憶消しといてくれ」
服に付いたマヨも落とせるエビフライなら記憶だって消せるはず。
「嫌です。だいたい陰陽道は誰かを守るためにあるんですよ。
自分のためだけに使ってはダメです」
頭の固い奴め。確かに正論かもしれないが・・・。
「なに言ってるの!エビフライとかなんとか・・・。
話をちゃんと聞きなさい!迷惑なのよ!!」
アンタのでかい声でキーキー騒ぐほうがよっぽど迷惑なんだが。
って言ったらもっと文句がグレードアップしそうだから顔には出さない。
あれ?エビフライがいない。あいつ、こういうときに限って逃げるからな。
「余所見しない!!私たちがわざわざ教えてあげてるんだから!!
だいたいあんたね______。」
というわけで俺はその後、
2時間半に亘ってありがたーいお説教様を聞かされることになった。