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Re: みぞれ?かき氷の? ( No.32 )
日時: 2013/01/31 20:14
名前: コーラマスター ◆4oV.043d76 (ID: Ug45cB3V)

「あぁ、もうダメだぁ・・・。膝が死ぬほど痛い」
俺は今日もまたエビフライの下で修行をさせられていた。
今日のメニューはうさぎ跳び三百回。陰陽道と関係無いだろ。
今、やっと80回。日頃こたつでゴロゴロしてる俺にはきつい。
「何言ってるんですか。精神を鍛えるにはまず体から!
 これぐらい大丈夫ですよ。ほら、こんなふうに!」
エビフライがビュンビュン高速で跳ねる。風を切る音が聞こえる。
「普通の人そんな早く跳ねられないから!
 そもそもエビフライとは体の構造が違うんだよ!!」
というかエビフライの体ってどうなってるんだ?
蝦ってあんな高速で跳ねられないよな?
「ほらほら休まずに!後213回ですよ!」
無理。もう脚全体に激痛が走っている。
特に膝が。別に老人じゃないけど痛すぎる。
エビフライ、アイツは鬼だ。もうオニフライでいいぐらい。

「キャー、イケメン!!カッコイイ!!」
ん、女子の声。ていうかイケメンってどこだ?俺も見たい。
「あのう、ちょっといいですか?」
さらに女子の声。さっきの奴の声だな。
って思ってたら後ろに13、4歳ぐらいの女子。こんな近くにいたのか。
「どうしたんだ?イケメンの情報とかでも聞きたいのか?
 言っとくが俺は多分知らないぞ」
だが様子が少しおかしい。着ているのは純白の和服。帯は青いが。
それに少し冷気を感じる。ははぁ、コイツ妖怪だな。雪女かな?
「カッコよすぎて話しかけずにはいられなくて・・・」
はあ?俺がカッコイイ?バレンタインにチョコをもらったことの無い俺が?
というか逆ナンだよな、コレ。
「ま、まあ落ち着け。あとさ、違ったら悪いがお前、妖怪じゃないか?」
多分間違ってない。妖怪らしきオーラがプンプンしてる。
「え?あなたも妖怪じゃないんですか?
 かなり強い霊力を感じて・・・」
『あなたも』。ハイ、妖怪確定。
ま、妖怪だろうと人間だろうと扱いは変わらない。
「いや、俺は陰陽師」
「すごーい!カッコイイ!!あ、遅れました私はみぞれ女です。
 みぞれって気軽に呼んで下さい。あなたのお名前は?」
みぞれ女・・・だと!?まさかかき氷にかけるシロップの妖怪か?
ミゾレ。雨と雪がいっしょに降る気象現象です」
エビフライが急に口を挟む。
「どうせかき氷を思い浮かべてたんでしょう?」
当たってやがる。エビフライ、恐ろしい子!あとむかつく!
「・・・あの、お名前は?」
話を邪魔されたみぞれが悲しそうに聞いてくる。
「あ、すまん。俺は照明だ」
「照明さんですか。陰陽師ってカッコイイですね!」
本日、カッコイイ4回目。どうしようか・・・。
「あ、ああ。そんなにカッコイイか?」
「カッコイイですよ!
 ところで照明さん、好きな食べ物って何かありますか?」
「コーラ、だな。あの酸味と甘味の絶妙なハーモニーが・・・」
あ、ダメだ。また癖が出ちまった。
なにかあるとコーラを語りだしちまうんだよな。
「へえー。おいしいですよね!
 私は、ソフトクリームかな?甘くておいしいんですよ」
「ふーん」
「私ね、おいしいソフトクリームのお店知ってるんですよ。
 『篠山デパート』ってあるじゃないですか。
 そのお隣の____。」
そんなふうに話してたら薄暗くなってきた。
俺としては、修行せずに住んだからよかったが。
「じゃあな、俺は帰るからな」



家に帰ってから30分。
「とっても仲が良かったじゃないですか。
 もしかしたらご主人とラブ・・・痛い!」
変なこと言い出したエビフライにチョップをくらわせる。
その直後、俺の部屋の窓をノックする音が聞こえた。
妖怪か幽霊だな。別に怖くはないが。
窓を見に行く。__と、そこにいたのは白い和服の…みぞれ!
「こんばんは〜。夜も更けてきましたね」
俺が速攻でカーテンを閉める。
ストーカーかお前は!恐いよ本当に!
今度は別の窓から、
「とってもいい部屋ですね」
どうやって飛び移ったんだ!恐い恐い恐ろしい!!
初めて妖怪を恐いと思った!これだから妖怪は!!
トイレに入っていても風呂に入っていても、
「あれ、どこに行ったんですか?もっと話したいのに」




俺は家中に妖怪除けの結界を張った。
そしてそれと同時にみぞれ地獄がとりあえず終わったのだった。