コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 見掛け倒しって言われてもな・・・ ( No.37 )
- 日時: 2013/02/16 20:45
- 名前: コーラマスター ◆4oV.043d76 (ID: Ug45cB3V)
テケテケ・・・という音は次第に近づいてくる。
どうやら俺達の存在に気がついたらしい。
「ついにお出ましですね」
エビフライの声が暗い廊下に木霊する。
それとともに闇からテケテケが姿を現した。
下半身が無く、腕で這って進んでくるソイツは、
俺を充血した赤い目で睨んだ。
だが、こんなときになっても俺は怖いなんて思ってなかった。
・・・昔から基本的に妖怪は怖くない。みぞれは別だが。
物心ついたころからから妖怪・幽霊の類が見えていたからな。
「ご主人。あの妖怪は見掛け倒しです。
おそらくあの妖怪は恐怖から生まれたモノ。
恐怖によってさらに怖くはなりますが、
強くなるかというとそれほどでもありません。
見かけに反して弱いので安心して倒してください」
エビフライが長々と言っている間にテケテケは距離を詰めてくる。
グロゲーのゾンビのような捉えどころの無い動きだ。
「つまり、このグロいのも見た目だけだと」
「ハイ」
そんな即答されてもな・・・。怖くなくてもグロいのは気分が悪くなる。
「それにしても本当にえげつないですね、この妖怪。
近頃の小学生はこんなゲームソフトを持っているんでしょうか。
妖怪のでる場所にいる人の趣味は妖怪にも影響しますからね」
エビフライが独り言のように呟いた。
あれ?そういや千里は?確か俺達と一緒にいたはず・・・。
・・・あ、いた。5-2の教室の隅で震えてる。
あいつ、ほとんど普通の女の子だな、本当に。
そしてテケテケはというと相変わらず俺を睨んでくる。
「コイツ、さっきから見てるけど全く攻撃してこないな」
「ええ。だから言ったでしょう。見掛け倒しだって」
エビフライがふふんとドヤ顔を決める。はっきり言ってウザい。
まあ、敵の全貌がわかったところで・・・
「・・・反撃開始!」
「攻撃されてませんけどね」
エビフライが呆れた表情で言ってくる。いいじゃんたまには。
こういうセリフ、いつか言ってみたかったんだよ!
とにかく、持ってきていたコーラを飲み干す。
よっしゃあ、パワー全開!!
「急急如律令!!
恐怖により生み出されし異形よ、主の精神にもどりたまえ!」
俺が呪文を唱え終わったと同時にテケテケが消滅する。
あっけない。こんなに弱いのなら最初からやっときゃ良かった。
あ、ちなみキュウキュウニョリツレイってのは
さっさと言うこと聞け!ってこと。
この呪文の最後のほうには大して意味は無く、妖怪に意味が伝わればいいらしい。
だが、この言い方のほうが気持ちが篭るし気迫があるからいいとのこと。
さすがの俺も二週間も聞かされちゃ覚える。
「おお、覚えてたんですね。もう忘れてるかなと」
エビフライが嫌味ったらしく言ってくる。
くそう、コイツは何から何まで・・・。
「あのう、もう大丈夫ですか?」
エビフライの声を聞いて千里が教室から出てくる。
・・・ふう。これで今夜の仕事は終わったな。
- Re: テケテケ退治の後は地獄だった ( No.38 )
- 日時: 2013/02/17 18:09
- 名前: コーラマスター ◆4oV.043d76 (ID: Ug45cB3V)
あー疲れた。でも今日の仕事は終わりだ。
家に帰ってぐっすり眠ろう。眠い。
俺が転位の術を使おうとすると、
「それでは道路に移動しましょうか。道路で10kmほどランニングです」
「え?」
10km?嘘だよね?嘘だよね?あー最悪だ・・・。
俺はうずくまる。もうなんか全てが虚しい。
「照明さん、つまらないものですが・・・」
そう言って千里は落ち込んでいる俺に何かを渡した。
今それどころじゃないっての!真夜中に10km走らせられるんだぞ!?
死ぬ?そこまでいかなくても倒れる?どっちにしろ嫌だよ!!
あれ、千里がくれたものなんか冷たいな。
真冬にアイスなんて俺は欲しくな・・・
俺が千里をくれたものを見てみると・・・そこにあったのは!!あったのは!
コーラ1.5リットル様様!!なんてこった!!!
俺はお宝を前にして落ち込んでいたのか!!
こんな輝きを放・・・「ハイ、行きますよ。千里さん、さようなら」
ヒュウウン!!エビフライが俺もろとも転位の術で移動した。
そこは・・・寒い寒い町内の道路!!
「早く走ってください。寒がっててもランニングは終わりませんよ?」
「殺す気かああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
その後、俺が町内ランニングという名のマラソンさせられ、
途中で失神したのは言うまでも無い。