コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 俺の式神がどうみてもエビフライなんだが ( No.58 )
- 日時: 2013/12/25 19:28
- 名前: コーラマスター ◆4oV.043d76 (ID: .HsHtyLH)
今日は俺の誕生日、12月25日だ。
しかし、俺はプレゼントや誕生日ケーキなるものを貰ったことは無い。
イブにクリスマスケーキ貰ったんだからいいだろ、という素敵な理由で。
そして、友達に今日何の日か聞いてもクリスマスという模範解答しか帰ってこない。
こんな日に俺を産みやがった母さんをぶっとばしたい。
またはこんな日に楽しくいちゃいちゃしやがっているカップルを呪いたい。
——そんなことを思いながら、川辺で夕陽を怨念をぶつけていた。
ちなみにエビフライは式神全会議とかでいない。
何でも陰陽道をやっている者でもクリスマスを楽しんでいいのか、という会議らしい。
若干手遅れな気がしないでも無い。
ビュウーッ。冷たい風が身体の熱を奪っていく。
その直後、背後で声がした。
「て、る、あ、き、くーん! メリークリスマス&誕生日おめでとう!」
驚いて振り返ってみるとそこにはみぞれがいた。
妙に口先を上げている。隠しているつもりらしいが、背中に手を回しているのが解る。
「お前、どうして俺の誕生日知ってるんだ?」
みぞれが鼻を高くして答える。
「私の情報網を舐めないで。こう見えても日本で10本の指にはいる妖怪なんだから」
ストーカーでなのか、強さでなのか……。
「あ、そうだ、忘れるところだった」
みぞれが後ろに回している手を前に持ってくる。
その手の上には、10cmぐらいの赤いリボンを巻いた箱があった。
「改めて誕生日おめでとう!」
俺は差し出されたその箱を受け取った。
「——なんかその、ありがとな」
「そんなこと……無いよ」
みぞれが赤くなった顔を手で隠す。
そして、そのまま吹いた風とともに逃げるように消えた。
箱を開けてみると、中にはコーラ無料券50回分とカードが入っていた。
カードには「お誕生日おめでとう」とか「大好きです」とかが延々と書かれている。
それを読んでいると、意識が遠のく気がする。
まさか、生まれて初めて誕生日プレゼントを貰った相手が妖怪になろうとは……。
そう考えながら突っ立っていると、後ろから大きな衝撃を受けてバランスを崩し、転んだ。
「いてて、なんだよ」
「それはこっちのセリフ……、ん?太一じゃないか」
ぶつかってきたのは友達の五十嵐太一だった。
「お、照明。聞きたいんだけど、照明見なかったか?」
「いや聞くも何もここにいるじゃねーか」
「あ、本当だ。よう、照明」
馬鹿かこいつは。いや少なくとも俺よりは成績はいいが。
「実は家でクリスマスのケーキ作り過ぎてさ。貰ってくれないか」
ショートケーキはコーラほど俺を魅了する存在ではない。いつもならな。
だが、今日は別だ。クリスマスケーキという追加効果があるからな。
「有難く頂くことにするな」
俺は差し出された追加効果付きの回復アイテムをコーラをお供に食べる。
若干変な食感と味がするが、コーラが打ち消してくれる。
「ご馳走様。おいしかったぞ」
「そりゃ良かった。こっちも作った甲斐があるってもんだ」
太一のその応答を聞いた直後、俺は腹が中から裂けるような激痛と便意に襲われた。
俺はかがみ、悶えながら言った。
「ぐ、太一、ケーキの食材は何だ?」
「大丈夫か? ケーキの食材はホットケーキミックスと牛乳、フルーツ、後はベニテングダケだけど」
「それだあああああああああああああ——」
俺は理不尽な痛みに苦しみながら便所へ走った。
——俺はその後、便所にギリギリ間に合ったが、
同じケーキを食べた太一が何故腹を壊さなかったかということは永遠の謎である。