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Re: 俺の式神がどうみてもエビフライなんだが ( No.84 )
日時: 2015/03/07 13:05
名前: コーラマスター ◆4oV.043d76 (ID: xCJXbGYW)

最近、みぞれを見かけない。
そのおかげで、トイレや風呂、ベッドで待ち構えていることもないし、
コーラに混入していることも無くなった。
それは別にいいんだが、なんかこう胸騒ぎがする。みぞれの安否が心配だ。
どこかのイケメンを凍結して永久保存していないか、とか、
そこらの霊感持ちの男にストーキングプレイをしていないか、とか、
世界中のコーラを凍結させて世界を絶望に陥れようとしていないか、とか色々気になる。
とりあえずエビフライに訊いてみるか。

「なあエビフライ。みぞれ最近見ないよなー」
「そうですねー」
エビフライはマイブームの激辛カップラーメンに漬かりながら生返事する。
もうカップラーメン風呂は今日だけでも11回目。辺りにカップが大量に散乱している。

「お前ってさー、その衣、ラーメンの汁でふやけたりしないの?」
「タルタルソースで防水加工しているので問題ありません」
エビフライは今度はナルトを強引にねじまけてアヒルにするという作業に勤しみはじめた。
どうやら、ラーメンの具だけで風呂場セットをコンプリートしたいようだ。

「みぞれ探しに行かないか?」
「別にいいですけど」
エビフライは口惜しそうに無残な姿のナルト製アヒルを捨てると、ラーメンに潜った。
すると瞬く間にラーメンの汁は減っていき、麺は消滅した。

「——くぅ、辛い! でもそこが堪んないですねー」
エビフライは嬉しそうにカップの縁に首をかけた。
その頭にあのナルトアヒルが乗っていて、
恨めしそうにエビフライを眺めていたことは俺の心の中に留めておこう。


家から出た俺達は、まず源蔵のじいさんと話すため、銀杏館に向かった。
玄関に入ると、そこには木彫りの鮭と熊が山積みされていた。
なにがあったんだよ・・・・・・。

「源蔵のじいさーん! いるかー?」
大声で呼びかけると、小さな声が聞こえてくる。

「こ・・・・・・ここじゃ・・・・・・」
その声はどうやら木彫りの山の中から聞こえているようだ。
山を少し崩してみる。
するとそこからじいさんの顔面が出てくる。

「助けとくれ・・・・・・」

怖いからもう一度埋めよう。

「見なかったことしよう」
「はい、そうしましょう」
「源蔵のじいさん何処にいるんだろうなー」
「出かけてるのかも知れませんよー」
「あー確かにー」

「何で助けてくれないんじゃー!」
源蔵のじいさんが自力で山から這い出てくる。自分で動けるならそうしろよ・・・・・・。
「いやだっていきなりじいさんの生首が出てきたら怖いだろ?」
「た、確かに・・・・・・」
そこは納得するのか。

「てかなんで木彫りの熊やら鮭やらに生き埋めになってたんだよ?」
「夏海にやられたんじゃ。1週間働かなかっただけで・・・・・・ここまでせんでも・・・・・・」
働けニート。だが気持ちは分からんでもない。

「ところで、ここらへんで雪女っぽい妖怪を見かけなかったか?」
「うーん、見てないのう。夏海ー、雪女見とらんかー?」
夏海がオレンジ色の物体を従えて奥の部屋から出てくる。
その物体がみかんに見えるのは俺の気のせいじゃないはずだ。
「いいえ、見てませんよ。あれ、照明君、どうしたの?」
「さっき言ったとおりだ。雪女もどきの妖怪を探してる」
「・・・・・・そう。じゃあ、見かけたらまた連絡するわね」
夏海がまた部屋へ戻っていく。みかんも空中を滑るようについていく。
あれはいったいなんなんだ。式神か? もし式神なら可哀相なこった。
全く式神が食品なんて想像するだけで嫌になるぜ! 例えばエビフライとかな!

そんなことを考えながら、俺は銀杏館を後にした。