コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: “全世界のバカ共に告ぐ!” ( No.3 )
- 日時: 2015/03/19 13:03
- 名前: 郁汰 ◆8EiAzCHuJ2 (ID: qJ0dFxMT)
「…どうもっ」
へらっと貼り付けたような笑みを浮かべながら、そいつが言う。
少しクセのついた赤い髪の毛に他校のブレザー。
深い青色の瞳に、透き通るくらい白い肌。
歳は…俺と同じくらいだろうか。
正直、世の中の女の理想像とも言える『超絶イケメン』が、そこに立っていた。
「…誰…ですか…」
震える声で相手に尋ねる。
どんだけチキンだよ俺!!もう自分で自分を殴りてェレベル!!!!
「ショウ。あ、苗字は無いから」
「いやそーいう事ではなくてですね…」
もごもごと次の言葉をためらっていると、母さんが突然口を挟んだ。
「京介!ちゃんと自己紹介なさい!今日から"家族"なんだから!!」
ぴしゃりとそう言い放つと、急に猫撫で声になって「ごめんねぇショウくん」だの言っている。
俺は聞こえないようにチッと舌打ちをすると、無理矢理引きつった笑いを浮かべた。
「…白神京介。年は17。よ、よろしく」
…なんでこんな出所の知れない奴に気を遣わなければいけないのだろう。
大体さっきから話がぶっ飛びすぎてて訳わかんねえ。
"家族"?誰が?コイツが?
「ふーん。じゃあ『キョースケ』で」
微塵の興味もなさそうに、淡々とした口調で、まるで一連の流れのように左手を差し出された。
一応俺も礼儀として(あくまで礼儀)、おずおずと右手を差し出す。
軽く握ったそれは、まるで生きていないみたいに無機質で、冷たかった。
「あらいいわね〜握手なんて」
「…ちゃんと説明しろよ」
「心配しなくても後でちゃんと言うわよー。それよりショウ君のご飯作らないと!」
歳の割りにイタいウサギのエプロンを着けながら、鼻歌交じりに母さんが言う。
そして突然思い出したようにピタッと動きを止めると、くるりとこちらを振り返った。
「そうそう。あんたの部屋とショウ君の部屋、『共同』だから!」
「はあ!?」
これには流石に声を荒げた。
高校2年生の、しかも初対面の男同士があんな狭い部屋を共有するなんて…
「仕方ないじゃない、もう部屋余ってないし」
「ほとんど母さんのダイエット器具で埋まってんじゃねえか!それをどければ…」
「だって捨てるに捨てられないんだものー…っていうかショウ君もう行ったわよ」
その言葉と同時にみるみる引きつっていく自分の顔。
さっきまでドラマのワンシーンの中にいるような気分だったのに、
自分が絡んできた途端それは一気に“現実”として押し寄せてくる。
「…嘘だろ…ってか昨日和斗から貰ったエロ本が今ベッドの上にあああ見るなああああああ!!」
これが俺とアイツとの、突飛な生活の始まりだった。