コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: “全世界のバカ共に告ぐ!” ( No.5 )
日時: 2015/03/19 23:51
名前: 郁汰 ◆8EiAzCHuJ2 (ID: qJ0dFxMT)

「ん?あれどうかした?」





駆けるように階段を上り、バンッと勢い良くのドアを開けてみれば、
部屋の真ん中で堂々とあぐらをかいている“ソイツ”と目が合った。

返事もせずに慌ててベッドの上に視線を移す。
…よかった、上手い具合に枕の下に隠れてあったようだ。


「あー?いや…あはは…なんでもねえです…」


我ながら破滅的に分かりやすい嘘だなと思ったが、ソイツは気にも留めていないようで。
「そっか」とかなんとか言いながら、何処からとも無くポテチ…の袋を繰り出した。


「ここ来れば?一緒に食べようよ」


うさんくさそーな笑いを浮かべながら、カーペットをポンポンと叩く。

つーかココ僕の部屋なんですけどォォォォ!!!
えっなに君が俺の部屋ですみたいに構えちゃってンのってああああポテチこぼすなやァァァァ


「あ、あざーす…しょ、ショウさん?」
「ショウでいいよ〜あと家族なんだから敬語はナシね!」




…なんだコイツ!




いや…まぁ聴きたいこともいっぱいあるしな。穏便にいこうじゃないか。
だって俺、コイツの事まだ何にも知らない。

とりあえず少し間隔を開けて隣に座る。














≪…パリパリパリ…≫


(っあーこれコンソメだ…でも俺断固うすしお派だし)












≪…ムシャムシャムシャムシャ…≫


(なにはともあれ菓子出してくれるなんて、こいつも案外悪い奴じゃないのか…も…?
俺の部屋だけどな)









≪…モグモグモグモグモグモグ…≫


(…ってか話題ィィ!!!!なんか俺ばっか心の中で喋って超寂しい子みたいじゃん!!!!
 話題話題なんか場を和ませる話題話題話題話題話題話題話題話題話題話題……)
























「…ぱりぱりぱr「うるせェェェェェェェ!!!!!!!!」








バコーンッ!(リモコンを投げつける音)









「痛っ!?」

「さっきからパリパリモグモグムシャムシャうっせーんだよ!!黙って食えや!!!」

「だってこうした方が読者により一層ポテチの質感が伝わるかと…」

「なんか俺ばっかり悩んで俺バカみてーじゃんねえ俺バカなの俺バカの子なのかなあ」



俺の普通の日常を心から返していただきたい。
あ、やべ。なんか泣けてきた
母さんもあれから全部説明しようとする気配すらないし、全てが突拍子過ぎてついて行けない。



「…」



相手はキョトンとしたような表情のまま固まっている。
なにがなんだかわからないけどなんか楽しい、みたいな顔。

このままだとなんだか埒が明かなさそうなので、俺はそれとなくポテチの袋を漁りながら会話を切り出してみる。


「で、アンタ何者なんすか?親戚…じゃないよな」

「あー……。んーと、全部話すのダルいから、端的に言うね〜」



ことごとくフリーダムなクソヤローだな、と心の中で悪態をつきつつ、俺は次の言葉を待つ。



「キミはさ、"WSPF" って知ってる?」
「知ってるも何も…アレだろ、国連未加盟国も含め世界中で連携しあって結成された"地球外最大の官憲組織"とかいう」



"World Space Police Force"———訳して、"全世界宇宙警察隊"。
またの名を"人類の最終兵器"。


およそ10年前の"あの事件"をきっかけに新たに組織された特別部隊のことで、
ごく一握りのエリート中のエリート人間しか就けない、いわゆる全人類憧れのお仕事といった立ち位置だ。
しかし実際の所俺達一般人には軍内部の詳細までは開示されない決まりになっており、たいていの人間はニュースや新聞などで活動内容をチェックする程度である。

ちなみに、そんな見えないベールに覆われている分、いわゆる"ウワサ話"も後を絶たない。
地球にあるWSPFの基地はすべて支部で、総本部は地球外に造設されているとか、
WSPFの一次試験を通過しただけで一生カネに困らない生活が保障されるとか、
その地位を信証するピンバッジは、幹部クラスだとオークションでウン千万レベルで取引されるとか。
はたまた隊則は極めて厳しく、掟を破ったものには死ぬにも死にきれない程の苦しい処罰が下されるとか…

まあいずれにせよ世説の範疇を超えることは無く、その真相は今まで闇に葬られてきた…ようなものではあるが。





「そうそれ。ソイツらブッ叩くのが俺のシゴトね」

「…は?」





思わずポテチを貪っていた手を止めた。






「ほら、WSPFって地球人で構成されてるだろ?だから討伐のためにはまずその基盤となる
 地球に潜入しなきゃーと思って。何事も根本から潰していくのが基本だよ」
「いやいやいやいやいやいやちょっと待って!?!?!?」
「ってことでしばらくよろしくね〜キョースケ」


ショウはニコニコ笑いながら俺の左手を軽く握る。
どうやら握手のつもりらしいが、当の俺は驚きのあまりワナワナと口が動くだけで、声も出ず、握り返せる余力もない。





(なんだよそれ…つまりオマエは…)






ショウはそんな俺に動揺する素振りも見せず、ニマッと胡散臭い笑みを浮かべて、言葉を放った。

















「ご名答★ この"セカイ"—————ブッ殺しにきました★」