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Re: 全世界のバカ共に告ぐ!※更新再開!! ( No.45 )
日時: 2013/03/16 10:05
名前: 郁汰 ◆8EiAzCHuJ2 (ID: TSqMPs/A)

「—————————それは災難だったねぇ」






帰り道。

俺は、“たまたま”幼馴染の未奈美と帰っていた。
ちなみに、未奈美は隣のクラス。


「で、そのショウくんって子は?」
「…ステラちゃんと一緒にクラスの奴と帰ってる。なんやかんやで人気者気質だからな、アイツ」
「まあまあ、個性的な子でいいじゃない。クラスに一人は必要だよ、そういう子」

未奈美が茶色いロングヘアを風に揺らす。

「家帰っても一緒なんだぞ?正直萎えるっつーか…」
「アタシも会ってみたいなぁ〜、ショウくん」

…どうやら俺の話は聞いていないらしく。
えへへ、と未奈美が照れくさそうに呟いた。

「…オマエが会ったら収集つかなくなるからやめろ」
「ひどっ!!どういう意味!?」
「どーもこーも、そのまんまの意味だよ」








————————そう。






言いたくないけど、正直、未奈美のドジっ子加減は異常だ。



この間なんて……ぱっ、パ、パンツをはき忘れてた事もあった。

ええ。もちろん冗談抜きで。



その上本人は無自覚だし、直そうともしないからヒジョーにタチが悪い。

だから何なんだってワケでもないけど、幼馴染としては心配…なわけだ。一応。






「『会いたい〜♪会いたい〜♪〜♪』」
「だからしつけェって……ん?…あ、歌聞いてんのか」


いつの間にか、未奈美の耳にぶら下がっている、白いイヤホン。


「お前ってホント昔からマイペースだよなあー…」


口ではそう言いつつ、邪魔するのもアレなので一応黙っておくことにした。
歩みが自然と遅くなる。


「『会いたい〜♪今すぐに〜♪』」
「…」
「『片手にはあなた宛てのラブレタ〜♪忘れた〜♪でも代わりに荒縄〜♪』」
「…え?」
「『あ痛い〜♪縛りあげるのよアナタのカラダ〜♪ムチと手錠を持っt』」
「コラァァァァァ!!!!」
「へぶっ!!」

とっさに未奈美を近くのブロック塀に押し付け、口を思い切りふさぐ。
と、同時に耳からイヤホンを引っこ抜いた。

「どんなSMソングだよ!!!!!」

小声で俺がシャウトする。

「あれ…っ?なんかダメだった?」

おずおずと未奈美が尋ねる。
心なしか、その表情は真っ赤だ。
きっと、歌詞の意味をよく理解していないのだろう。

「ダメもクソもねェよオマエそれ公衆の面前で歌ったりしたらある意味人間として終了だぞ!?」
「和斗くんがね、こないだ教えてくれたんだぁ。『未奈美ちゃんはソッチの素質があるから』って」
「おーし今度和斗にボディーブローくらわせてやんねーとなァー50発くらいィィィィ!!」
「まだ続きがあるんだよっ、えっとねぇ…確か————————」
「あ゛あ゛あ゛それ以上歌うなァァァァァァ!!!!!!」









…なんでこう、俺のまわりはバカな奴ばっかなのだろうか。

一人くらいマトモな奴置いてくれてたっていいじゃないか。

ツッコミポジションの奴置いてくれてたっていいじゃないか。





目元にうっすらと涙が浮かんできた、その時。









「———————おまわりさーんっ!!道ばたで性春万歳してる人がいますぅーっ!!!」