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とある昼下がり。



ランチを楽しむ生徒達でにぎわう中庭…の隅っこに、俺はいた。








「—————————…どーにも解せねェ」










“あの騒動”から、早1週間。






俺は無事退院し、今こうして昼飯の弁当をほお張っている。

そんな俺の横で、紳士の読み物(またの名をERO本)をたしなんでいるのは親友の和斗だ。
ちなみに、コレは『この間のお礼』として俺が買ってやったシロモノ。





「解せないって…何が？」


ガッツリ本から目を離さずに、突然和斗が口を開いた。

…そういえばさっきからずっと同じページばかり見ている気がする。
お気に入りモデルの特集でもやっているのだろうか。



「オマエはいいよな、ノーテンキで」
「あーやっぱそう思う？長い付き合いとはいえちょっと照れますな」
「ほめてねーよ」

抑揚のない声でも一応ツッコむ。だってそれが俺の本業だし！！！！


「…ショウ君の事だろ」


和斗はそれだけ呟くと、ゆっくりと本を閉じた。
キワどい姿のモデルが華々しく本の表紙を飾っている。
視線を自分の弁当へと戻す。


「…密偵。スパイ。殺人鬼。敵は俺らの正義のヒーロー？もうワケわかんねーよ」
「うん」
「もしもあのヌエとかいう厨二病ヤローの言う事がすべて事実だとしたら…」
「うん」
「…真面目に聞いてる？」
「うん」
「和斗クーン聞こえてますかァー！！」
「うん」
「…」
「うん」
「…k「言わせねーよ?？？？？？？？？？？？？？？？？」

拍子に頭を小突かれ…つーか殴られたんだよねコレ小突くってレベルじゃないよねコレ結構痛いよコレ
よいこのみんなはエロほんのかどでおともだちをなぐったりしないでね★

つーか今の衝撃で俺のタコさんウインナーが地上という名の天界に召されただろーがァァァァ！！
地面着地という名の大偉業成し遂げちまっただろーがァァァァァ！！！

先ほどの後頭部の痛みなんか忘れて、
土まみれになったタコさんウインナーを涙ながらに見つめていると、和斗がポツリと呟いた。


「…何も覚えてないんだな」
「当たり前だろ！？オマエが俺とタ子の仲を早々に引き裂いたんだ！！俺らが思い出をつむぐ前にな！！！！」
「『タ子』はないだろせめて『タコ子』と言え合わせ技はやめようなんかハラ立つ」


和斗はそこまで言い、ゴホン、と咳払いをひとつしたかと思うと、
ニカッと笑みを浮かべた。

赤ブチメガネの奥の瞳が、ゆるりと弧を描く。


「…ショウ君は多分、京介が思ってるほど“ショウ君”ではないと思うぜ」
「……は？」