コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 全世界のバカ共に告ぐ!※更新再開!! ( No.118 )
- 日時: 2013/05/17 18:46
- 名前: 郁汰 ◆8EiAzCHuJ2 (ID: LcDNzAC/)
「…ショウ君は多分、京介が思ってるほど“ショウ君”ではないと思うぜ」
「……は?」
和斗の言葉の意味がイマイチ理解できなくて、反射的に首をかしげる。
そんな俺を見て、和斗は半ばあきれた様に続けた。
「京介さ。自分が気絶した時の事覚えてるか?」
「えーっと…確か視界が真っ白になって、気がついたら病院にー…みたいな」
「じゃ、なんで京介はこんな軽症で済んだのか覚えてるか?」
「え…?」
「あの時、少なくとも鵺はお前相手に反撃してたぜ。オレの目が正しければな」
「ま、あくまで自己防衛の範囲だろうが」と和斗が呟く。
…そりゃあそうだ。あのショウとタイマン張るくらいのヤローだぞ。
って、そういえばショウが本気で戦ってるトコロって見たことないな…俺。
「鵺って奴…アイツは本当にバケモノだよ。俺の目に狂いは無い」
その自信は一体ドコから来るのだろうか。
とか一瞬ツッコみたくなったけど、あえて言葉には出さない。
…和斗は一年の時、俺らのバスケチームのレギュラーだった。
ちなみに、俺らのチームは地元でも結構有名で、強豪校と恐れられているくらい。
そんなチームの重役ポジションに入学して間もなく着いたくらいだから、ヤツの実力は確かだろう。
——————そんな和斗の最大のウリは、
相手のプレーのクセをいち早く読み解く『鋭さ』と『洞察力』だった。
元々頭脳明晰なヤツだからな。
俺みたいにがむしゃらに動き回るプレーなんかしない。
だからこそ、和斗の“コノ手”の話は信頼できる。
まあ今回のヌエってヤツは、誰がどうみてもバケモンだろうが…
俺が言葉を詰まらせていると、
突然和斗が声を低くして言った。
「…そんなバケモノから一撃くらったら、オレたちみたいな“ニンゲン”は一瞬でオダブツだぜ」
ゾクッ…
脳裏に、ヌエの瞳と言葉がフラッシュバックする。
ショウとは正反対の、闇に染まりきった濃赤色の瞳————————…
背中に得も知れぬ悪寒が走った。
情けないとはわかっていても……いけねェ。手が震えてる。
ついこの間は、そんな“バケモノ”に襲い掛かろうとこの手で竹刀を握り締めていたくせに。
「…『目には目を』。『歯には歯を』。『バケモノにはバケモノを』———————つまり」
和斗が一呼吸の間を置く。
俺にとっては、その一瞬が何時間にも感じられた。
「お前は助けられたんだよ—————もう一人の…ショウっていうとんでもねえ“バケモン”にな」