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Re: 全世界のバカ共に告ぐ!※更新再開!! ( No.122 )
日時: 2013/05/24 14:31
名前: 郁汰 ◆8EiAzCHuJ2 (ID: LcDNzAC/)

「…」







————————言葉が詰まる。





…正直、そんな所まで考えていなかった。






それは今さら後悔しても遅い事で、言うなれば“自業自得”という言葉が合っているだろう。

俺はあの日から“正義のヒーロー”を敵にまわしてしまったのだ。






…やべー世界に片足突っ込んじまったなァ、俺。




さっきまで何か絵空事を見ているような気分だったのに、
今になって急にソレは現実味を増す。









—————————…だけど、フシギと恐怖は無かった。











「オマエ…あんな短時間でよくそこまで読めたな」


少しの沈黙の後、ゆっくりと口を開く。


「まぁ、オレだから?」
「ドヤ顔うぜえ」

これでもかと口角を吊り上げワザとらしく笑む和斗に、からかい半分にツッコんでやった。
自然と、ほんのちょっと笑いがこぼれる。


さっきよりも和やかな空気が流れ始めたとき、突然俺のケータイが鳴った。
ヴーヴーと小刻みにバイブが震え、右上には着信を示すマゼンタ色のランプが光っている。


「受信メールが一件…ショウからだ」




————————————————————

to:白神 京介
from:変態サド野郎
無題


テレビ


———end———

————————————————————





「…ほ?…てれ…び……?」





俺のケータイをのぞき込むやいなや、和斗がすっとんきょうな声を上げた。




「あああああああああそういえば今日ショウと歌番組見る約束してたわ!ごめん和斗!帰る!!」
「ええー!まだ5、6時限目残ってますけど!!」
「ンな事言ってられっかァァアイツとの約束破ったらやべーんだよ後で血の雨見ることになんだよ!」

大急ぎで弁当箱を片付け、ギュウギュウのスポーツバッグに詰め込む。
しまった。部室にバッシュ置いてこればよかった…

「きょーすけくんのさーぼーりー★」
「話聞いてる!?次の授業と俺の残り長い人生どっちが大事だよ!!」
「個性派AV女優のお宝画像」
「ハナから選択肢にねーけどォォォォォォォォ!!!!!」





ハァハァと荒ぶる息を抑え、勢い良くカバンを肩にかつぐ。

はてさてどうやってバレずに校門を抜け出そうか。
そんな事を考えながら、駆け出した、その瞬間。







「なあ京介」


突然、背後から和斗に呼び止められる。




「…なんだよ」




エロ本の催促なら聞かねーぞ?





首だけ振り向き、肩越しに和斗に視線を向ける。











「何であの時———————鵺に手ェ出そうとしたんだ?」









思わず目を見開く。




さっきとは打って変わった真剣な目と、視線が痛いくらいにぶつかる。

ただただ興味があるだけ。他に理由は無い、といった表情で、ヤツは俺を見据えている。








…そんなの決まってんじゃん。







身体が勝手に動いてた。

理性も本能も、そこには無かった。



“立ち向かわなきゃならねェ”



そう、思った。








(…だけど、そんな照れくせえ事、ぜってー教えてやらねー)










俺は一瞬だけ、ニカッと満面の笑みを浮かべると、












「———————…朝の星占いのオネーサンが言ってたから、かな!」











和斗に負けねーぐらいのドヤ顔、一発キメ込んでやった。



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——