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「え…っと…」


和斗の開いたページを見るやいなや、困惑する女子陣。



…それもそうだ。

『特集！！』と大きく見開かれたそのページに写っているのは、
紛れもない水着姿のシッキー。
ご丁寧に『グラビア初挑戦！』の小見出しまで印刷されている。

…まーさすがに現役中学生だし、アダルト向けの水着では無かったけれど。


「違う違う、俺が見てほしいのはココだって」


少し焦ったように和斗が指さしたのは、ページの一番右下。

そこには間違いなく、


≪初主演映画プロジェクト始動！！〜舞台は都立桜庭さくらば高校に決定！〜≫



「オイオイオイオイ桜庭って…ホントに俺達の高校じゃねーか！！！」

思わず俺が声を上げる。
一瞬静まり返った教室内が、せき切ったようにギャーギャー賑やかさを取り戻す。

「だから言っただろキョースケくん。俺はそこら辺にいるタダの変態とは違うって」
「オマエの場合は変態の範疇はんちゅうを凌駕してんだよドコにわざわざエロ本にフセンするヤツがいるよ！！」



…口では毒付きつつも、俺は気付いていた。

あの日中庭でやけに凝視してたページは、正にこのページだったのだ。
それを裏付けるかのように貼られているのが、この緑色のフセン、というワケ。

…やっぱコイツの情報収集力、やべーわ。



「私達、エキストラとして一部出演できるみたいだよっ！！」
その記事の続きを読んだらしい沙羅月が、半ば興奮したように言う。

「これは…上手くいけば学校のPRにも繋がるかもしれないな」
新・学級委員長の瀬川も、うなずきながら呟く。





「——————…撮影は一週間後！！てめーら気合いれていくぞォォォォォ！！！！！」








和斗の天高いガッツポーズと共に、
俺達の新しい“非日常”は幕を上げた…のであった。