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Re: 不良物語 ( No.7 )
日時: 2013/01/15 13:57
名前: しょめ (ID: DSoXLpvQ)
参照: http://syome

——ガチャッ

「ただいまー!」
ふいに沈黙を破ったのは、沙鬼だった。
「おう、沙鬼か。アン?誰だ、その女ァ」
一鬼が目を付けたのは、沙鬼ではなく、その後ろにいる気の弱そうな女。
一鬼に言われ、肩をビクつかせる。
いかにも沙鬼とは釣り合わなさそうな女。
一体どうしたというのか。

「あのね!この子の自殺、私救ったの!」
「「ハァ?」」
自信満々、誇らしげに語る沙鬼に大鬼と一鬼は同時に声を漏らした。

話は30分前に遡る。
沙鬼が美麗と別れてすぐ。
沙鬼は、とある高校の前を通った。
「?」
門の前に黒いビニール袋があった。
中から微かに呻き声が聞こえる。
沙鬼は警戒しつつ固く縛っていたビニール袋をほどき、中を見た。
「え……!?」
中には人が入っていた。

沙鬼は中の人を外に出し、事情を聞いた。
どうやら、この女はいじめにあっていたらしい。
そしてついさっき、この黒いビニール袋の中に入れられ運ばれた。
もちろん市販の袋なので、破って逃げることも出来たことだろう。
「でも……」
「でも?」
「もういいやって思った。私なんか、いないほうがいいって……」
「つまり、自殺をしようとした」
女の声を遮って沙鬼はポツリと呟いた。

沙鬼の声に女は深く首を縦に振ろうとしたが、それは沙鬼の笑い声によって再び遮られる。
「アハハ!バカじゃないの!ホント、笑いモンだわっ!」
罵倒。
罵り。
「そんなことで人は死ぬんだっ!アハハッ!バカみたい!脆い脆い!」
涙目の顔で沙鬼を見る女。
なおも笑い続ける沙鬼。
女はただただうなだれているだけだった。
「いいわ。あんた、助けてあげる」
さっきの笑い声とは違う、優しい笑顔で沙鬼は言った。
「ほ……ホントに……?」
「ホントホント!私も友達ってモンあんまいないし。私は藤塚沙鬼。アンタは?」
「武井雅(たけい みやび)……」

沙鬼は気づかなかった。
雅の本当のいじめの訳を。
今、彼女がフッと怪しく嗤った事を——。