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Re: 不良物語 ( No.10 )
日時: 2013/01/15 14:01
名前: しょめ (ID: DSoXLpvQ)
参照: http://syome

『私に利用されているってこと』と女が言った瞬間、ガチャッとドアが開いた。
「ねぇ雅。私を利用しているって本当?」
そこには沙鬼がいた。
大鬼と一鬼は驚愕の表情を浮かべる。
ただ、女だけは違った。
女は——、嗤っていた。
沙鬼は悔しそうに問う。

「えぇ、本当よ。沙鬼と私が出会ったあの高校、実はあそこの番長は私のお兄ちゃんなのよ。
 お兄ちゃんの命令で、岡崎大鬼と杉沢一鬼を釣れって命令受けたんだけどね。お兄ちゃんの命令は
 絶対だから」
女は淡々と喋る。
まるで独り言のように、本人が目の前に居るにも関わらず喋る。
「てめぇ、だまって聞いてりゃぁ……」
「沙鬼が釣れたのは予想外だったけど、おかげでここに来れたからよかったわ。沙鬼には感謝してる」
一鬼の言葉を無視して雅は喋り続ける。

「そっか……。私、騙されていたんだ。馬鹿だなぁ、私……」
沙鬼の目からはさっきまでこらえていたはずの涙が零れ落ちた。

場所は少し変わって、某所。
「へぇ。雅、もう奴らの住処に潜り込めたんだ。早かったね。やるじゃんか。
惇都、準備は?」
ここは人目のつかない場所。
今、そこにいるもは二人。
「準備オッケーだよ、ツッチー!そろそろ行動に移ろうか!」
惇都と呼ばれた男は、立ちながら陽気に話す。
「ツッチーはやめろ」
”ツッチー”と呼ばれた男は、無愛想に言った。
「なんでぇ!?いいじゃんか!翼だから、ツッチー。いいじゃんか!」
「意味分かんねぇよ」
惇都と呼ばれた男の言葉にツッコんで、ツッチーこと、翼は笑いを浮かべた。

「んで?てめぇらの目的は何だよ」
大鬼はなるべく声を低くして油断しないように身を引き締め、雅に問う。
「目的?だから、私は知らないって——」
「それはさっき聞いた。てめぇのじゃねぇよ」
一鬼が冷たく、背筋がゾクッとするような声で言い放つ。
それに雅が少し「……っ!」と声を漏らす。
所詮は女。
強がっても無駄なのだ。
そう一鬼は思ったのだった。