コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 不良物語 ( No.11 )
- 日時: 2013/01/15 14:02
- 名前: しょめ (ID: DSoXLpvQ)
- 参照: http://syome
キィッ…
小屋の扉が静かに開いた。
そこに立っていたのは、2人の男。
1人は背が高く、前髪を金色に染めているガラの悪い男。
もう1人は同じく背が高く、メガネ。
だが、その瞳の奥には普通の人にはありえないだろう『邪』を持った目があった。
「誰だ……?」
「お兄ちゃん!」
一鬼が言い終わる前に、雅がガラの悪い男の方へ駆ける。
「おーおー雅ちゃん。久々感動の再開ってか?」
メガネの男がカッカッカッと笑いながら雅をからかう。
「もう、惇都さん!朝も一緒だったじゃないですか!」
雅は少し頬を膨らませ、メガネの男に言った。
「さて、と。君達がこの学校で噂になっている『金パツの鬼』と『白髪の鬼』かな?あと、その女の子は『茶髪の鬼』?へぇ、鬼ばっかじゃんか。怖い怖い。あ、でもそんなあだ名付けたのはこの学校の生徒かぁ。てことは、それだけ怖い、恐れられているってことかな?ワクワクするね、ツッチー!」
メガネの男、惇都は陽気にペラペラと喋りだす。
『金パツの鬼』『白髪の鬼』『茶髪の鬼』——。
入学当時、学校の奴らに付けられた大鬼達のあだ名である。
金パツの大鬼は『金パツの鬼』、白髪の一鬼は『白髪の鬼』、茶髪の沙鬼は『茶髪の鬼』である。
ちなみに一鬼に”しらが”と言うと、「これは脱色させただけだ!」と叫ばれ、半殺しに合う。
事実、大鬼は”しらが”と言い、半殺しにあったのだ。
「あぁ、紹介がまだだったね。こいつがツッチー、翼。俺らのボスだ。んでもって俺は森川惇都
(もりかわ あつと)。ツッチーの親友だ」
惇都が相変わらずのマシンガントークをする。
と、惇都の隣りから、
「俺はお前を親友と認めた覚えは無いが」
と、殺気のこもった声が聞こえてきたが、惇都は聞こえていないのか、
無視したのか、さっきの笑い顔のままだった。
「で?鬼達の名前は?」
笑い顔のまま、惇都は大鬼達に聞いた。
「テメーらに教える義理はねーよ」
一鬼が勝ち誇ったように言う。
「テメーに聞いてねぇよ」
陽気な惇都の声。
しかし、どこかドスが聞いているようにも聞こえる。
「おま……」
「そうそう、君に言っているんだよ、金パツの鬼。君、ここの頭だろ?」
大鬼の声を遮り、惇都が笑いながら言う。
こいつ——!
「お前に何故教えなければいけない?」
少し警戒し、大鬼は言う。
「何しにここへ来た」
「……壊しに来たたけだ」
大鬼の問いには、翼が答えた。
すると、惇都がアハッと楽しそうに笑う。
「ツッチー、始める気ぃ?俺はいつでもいいけどさぁ。アハハ!がんばってね〜」
ふいに翼の顔に欠陥が浮かぶ。
そして笑う。
不適な笑み。
少し釣り上がった口元から、フッと声が漏れる。
大鬼は少し後ずさりした。
「ねー、お兄ちゃん。何か凄い空気なんだけどさー」
ふいに雅が言う。
KYかッ!と突っ込みたいのは我慢しよう。
そして見えた、雅の不適な笑み、言葉、雰囲気——。
どれをとってもやはり全て翼に見えてしまう。
兄弟とは、恐ろしい。
「この頭が岡崎大鬼。高一で問題になった奴よ。で、こっちは杉沢一鬼。そして最後に藤塚沙鬼」
雅が順々に大鬼達の名前を呼ぶ。
呼ばれるたびに背筋がゾクッとした。
いや、その前に、の話なのだが。
——そもそも何故雅は俺達の名前を知っている!?
「どっから聞いた、雅」
そんな大鬼の気持ちを代弁するかのように、翼は雅に向かって疑問を投げかけた。
その疑問については同情しよう。
ただ、何か嫌な予感がする。