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Re: 不良物語 ( No.12 )
日時: 2013/01/15 14:05
名前: しょめ (ID: DSoXLpvQ)
参照: http://syome

「あのね、私の大親友に聞いたんだよ♪」
大親友……、だと?
いじめられっ子の雅に、大親友などいたのか?
それも俺達のことを詳しく知っている。

大鬼達の名前はどこかの情報屋に聞いたのかもしれない。
この地域では、有名だから。

だが。
何故大鬼が高一の時、問題を起こしたと知ってるのだろうか。
この話は一部の人しか知られていない。
——誰だ。
その情報屋とは、一体誰なのか。

「そう、だよね」
雅が口を開く。

「——私の大親友の藤塚沙鬼ちゃん?」

「「!?」」
雅の言葉に大鬼と一鬼が驚き、戸惑う。
そして当の沙鬼も——。

彼女の体がガクガクと震える。
「沙鬼……、本当なのか……?」
「あ……、あぁ……!」
一鬼の問いが聞こえていないのか、それとも答えるのが怖いのか。
沙鬼はただ震える。

「おい、沙鬼ィ!!」
沙鬼の態度に腹が立ったのか、一鬼が怒鳴った。
それにビクッと反応する沙鬼。
「あ……、あぁ……ぁ……!」
沙鬼の震えが激しくなる。

「テメェ……!」
一鬼が拳を振り上げる。
「テメェのせいで俺達の情報が漏れたんだ……」
——さすがにそれはまずい。
一鬼の言葉はそこまでだった。

——バキィ!!

鈍い音が部屋を埋め尽くす。

刹那。

大鬼の拳に痛みが走った。
そしてその拳に一鬼の血が付く。

「大鬼!何すんだよ!」
少し切れ、血が滲んでいる一鬼の口からの叫び。
怒りのためか、少し声が震えている。

「——お前がそんな奴だとは思わなかった。正直、ガッカリだ」
大鬼は静かに言う。
「はぁ?お前、沙鬼に裏切られたっつーことだぞ!?分かってるのか!?」
興奮する一鬼。

「こんなもの、騙されるほうが悪いだろう……」
「黙れ。お前も素直にこいつを受け入れただろうが!テメェも同じなんだよ!
少しは頭を冷やしたらどうだ!」
一鬼の声を遮り、大鬼は少し声を荒げた。

それに一鬼の圧は少し収まった。

「……チッ!もういい」
一鬼はそう言って小屋を出て行った。

静まり返る小屋。
残された大鬼達。
何とも言えぬ空気が辺り一面に広がっていた。

「追いかけないのか?」
惇都が笑いながら言う。
こんな状況でも笑ってやがる。
——正気かよ。

「お前ら……何をしようとしている……?」
「俺ら〜?」
大鬼は生唾を飲んだ。
「いや、まぁいいや。俺らもお前らと同じだ。教える義理はねぇ」
「……」
「強いて言うなら——、」
そこで翼は言葉を切った。

そして言う。
「この町を支配してみたいな〜って暇つぶしかな?」
そう、翼は言った。
潰す、と。

——潰す?滑稽な話だ。気が狂う程笑えてきてしまう。

——こいつ、正気か?

「へぇ、じゃあ俺達も支配されちゃうのか?」
「かな?」
即答。
それにまた笑えてきてしまう。
「俺を、か?」
「試してみる?」
——本当にバカなのか。
——俺の兄貴は、この街全てを率いる長(おさ)、岡崎大雅(おかざき たいが)なんだぞ?
     俺を敵にするとこの街全体を敵に回したようなもんだ。
呆れるほど笑えてしまう。

「お前さぁ、俺の兄貴知ってる?」
少し気を緩めても大丈夫そう、と大鬼は警戒を少し解く。


「——岡崎大雅、19歳。この街の支配団、百花繚乱の長」
「へぇ、以外に知ってるじゃんか」
「まぁ、そんなところか」


それにしても。
この膨大な情報力。
誰からだろうか……?