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Re: 【投票願】§モノクロ:コード§【参照10ありがとう!】 ( No.9 )
日時: 2013/02/02 17:13
名前: しょめ (ID: s1qwLtf7)
参照: http://syome

 涙なんか、出なかった。軟弱なくせに、なぜか強がった。理由なんか分からない。
 ——ここで崩れたら負けだ。そう、頭の中の僕が言っている。どうせ泣いてもこの涙を拭う人なんかもうこの世に誰もいない。

「もう話は終わりだ。——コード:02」

 後ろの扉が開いた。少しだけ、風が頬をかすめる。そして紀伊さんが現れる。
「大方の説明はした。後は頼んだ」
「了解しました。管理人」

「行きますわよ」
 紀伊さんが上品に言った。甘い香りが僕を刺激する。

 ここで変われ。

 ふいに——、声。管理人のでもない、紀伊さんのでもない、誰かの聞きなれた声。

 ここでお前は生きられる。
 ここで変われ。
 お前にはそれができる。

 自分の——声だ。

 過去を振り切れ。
 そして——戦え。

 どこかが波打ったように振動した。戦え。自分が自分にそう告げた。過去の自分が今の自分にそう告げた。
「……っ」
 逃げちゃダメだ。逃げたら終わりだ。それこそ本当に一生孤独だ。
「紀伊さん……」
「何ですの?」

 僕は宣言する。軟弱なりに、高々と。

「僕、戦います」