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Re: 【投票願】§モノクロ:コード§【参照50ありがとう!】 ( No.18 )
日時: 2013/02/02 17:26
名前: しょめ (ID: s1qwLtf7)
参照: http://syome

「さて、と。これで全員の自己紹介が終わったかしら?」
 紀伊さんが手をパンッと叩き、皆を注目させる。そして華やかな笑顔で僕を見て、言う。
「じゃ、最後に明人君ね」

「は、はい」
「緊張しちゃダメだわ。はっきり言うのよ」
 紀伊さんが小声でレクチャーしてくれる。本当にこの日とは優しい。
「戦うって決めたわよね?」
 そうだ。僕は、戦う。

「は、初めまして! 新しくモノクロ:コードになった、国々屋明人です。まだ何も分からない状態ですが、よろしくお願いします!」

 そして、深々と頭を下げる。少々声がひっくり返ったのだが、言えた、と思う。自分ではこれ以上のない、経験したことのない言葉。初めて言った言葉だった。何だが、清々しい。

「明人、か」
 声が響いた。ずっしりと、重い。
 まさか、この声は。気になって頭を上げる。
「……!」

 覇流さんが——、笑っていた。

「おぉ、明人君っ! 覇流さんが笑いましたよっ! 珍しいんですよ、これっ!」
 なぜか瑠璃がハイテンションになる。その衝撃で彼女の椅子が後ろに倒れる。空気が緩和されたのを感じた。まぁ、そのせいでか覇流さんがまた無愛想な顔つきに戻ったのだが。

 そして、再び重い声。
「俺は臆病者が大嫌いだ。……明人、俺と渡り合いたいと思うのなら正々堂々とぶつかって来い」
「は、はいッ!」
 彼の僕への呼び方が、臆病者から名前に変わったのに気づく。少し嬉しく思うのは、紛れもなく事実だ。
 何だろう、悪い人ではない。僕が悪かったのだろう、きっと。

「フフッ。さぁ、これで集会は終わりよ。解散ですわ」
 紀伊さんが妖しく笑う。妖艶な笑みだった。その色気で大抵の男はイチコロだろう。僕は色気とか分からないけど。
「部屋まで案内しますわ。そして、詳しい話もそこで」
 気づいたら、もう大広間には誰一人残っていなかった。
「行きますわよ」
 その声を聞いた瞬間、隣に紀伊さんがいないことに気づく。もう紀伊さんは後ろの入り口に移動していたのだ。
「はい!」
 そして僕は今までにない元気な返事で紀伊さんの背中を追った。