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Re: モノクロ:コード【コメント大募集中♪】 ( No.35 )
日時: 2013/02/02 17:35
名前: しょめ (ID: s1qwLtf7)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode

 長い長い廊下の中、僕たちはずっと無言で次の部屋まで移動した。瑠璃の様子が変なのは誰がどう見ても一目瞭然。悪いことをしてしまったような気がしてやまない。

「越後さんの部屋ですっ!」
 自分の部屋の紹介とはかけ離れたテンションでの紹介。僕は声が出なかった。というか出せなかった。
「越後さんは……、そうですね、楽しい人で好きですよっ!」
 微妙にテンションが上がる。単純な子だった。違和感が漂うのは無理もないが。
「中入りますかっ?」
 少し遠慮気味に瑠璃は言う。
「うん、いいけど。越後さんいいのかい?」
「はいっ! 越後さんは気前が良くて、突然訪問でも快く受け入れてくれるんですよっ!」
 テンションが戻ったのだろうか。先ほどとは変わらない明るい声や笑顔で言ってくる。どうやら僕の思い違いだったようだ。

 ——コンコン

 瑠璃が軽快に越後さんの部屋の扉をノックする。彼女の周りにはあたかも音符でも浮かんでいるようだ。少しだけ僕の顔も綻ぶ。

「誰ー? もしかして瑠璃ちゃん?」

 さすが、鋭い。いや、これは鋭いのレベルを超えているのかもしれない。もはや、超人。
 扉の奥から聞こえてきた声は、瑠璃と似た感じの明るさを持った声だった。元気で活発な男の子。僕とは正反対だったのがどこか虚しい。
「今開けるから」
 誰も声を出していなかった。
 しかし彼は既に瑠璃と判断していて行動している。恐るべき鋭さだった。

「あれ、お前もいたんだな。そか、『家』案内か」
「よく知ってますね」
 扉を開けるなり、こっちを見て越後さんは言う。
「ってことは、越後さんも『家』案内されたんですよね。誰にされたんですか?」
「もー、俺ら友達だぜ? 普通に越後って呼んでくれよな、明人!」
「はぁ……」
 タメ宣言をされた。確かに僕は相手を誰だろうと「さん」を付ける癖がある。もしかして越後さ…、いや越後はそれを読み取ってそんなことを言ったのだろうか。いや、さすがに無理はあるだろう。でももしかしたらとか。思考がグルグル回る。もうこの件については深入りはやめておこう。頭が痛くなるだけだ。

「そうだな、俺らが入ったときは当時コード:06の人がやってくれたな。優しい姉さんで助かったぞ、あん時は」
「え、コード:06は瑠璃じゃ……」
「ちがうんですよ、明人さんっ! モノクロ:コードは管理人さんから聞いていると思いますが、怪異を倒す人のことですっ。つまり命がけ、もちろんこの依頼で死ぬことなんて多々あるんですよっ。そして死んでしまって開いたコードのところには新しいコードが入る仕組みなんですっ!」
 そんなことを笑顔で言われても困るな。僕は小さくため息をついた。
「じゃあ越後が入った当初にいたコード:06の人がお世話係りだったんだね」
「そういうことだ」
 白い歯を見せて越後はニッと笑った。