コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 【参照200突破!】モノクロ:コード【コメント大募集中♪】 ( No.52 )
- 日時: 2013/02/02 17:45
- 名前: しょめ (ID: s1qwLtf7)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode
なら、少しだけはそのままにしておこう。そう僕は思う。それが瑠璃にとって一番なのかは分からないけど、今の僕が突っ込んでいっても無駄なことは分かってる。それは僕が一番よく知っている。全く、男子としては情けない話だ。
「あら、瑠璃じゃないの。もう私の番なのですわね?」
おしとやかで、妖しい声。紀伊さんだった。紀伊さんは扉から半身だけ出して僕たちを見ている。——一体いつの間に。そんなもの、僕が考えにのめりこんでいる間に決まっているのだが。紀伊さんの声は僕の考えを一瞬で吹き飛ばした。それほどまでに彼女の声は僕を刺激する。恋愛感情ではない、何かもっと別の——。いや、やめておこう。
「姉御ォーっ!」
「あら。どうしたんですの、瑠璃」
瑠璃がギュッと紀伊さんに抱きつく。どう考えても母子だった。それほどの背の差がありながらも同じ職場とは少し驚きだと思う。
「ここまで来たのでしたら、最後は覇流ですのね」
柔らかく微笑んで紀伊さんは僕に言う。そうだった。ここまでは順調だった。瑠璃のアクシデントもあったが、問題は次なのだ。いや、問題なのは僕だけなのだが。次の部屋訪問は——、覇流さんだ。僕を吹き飛ばし、僕に笑いかけてくれた覇流さんだ。嫌なわけがないが……、僕より瑠璃は。今の瑠璃の態度だとすぐ見抜かれてしまうのではないのか。そんな不安。
「なら私が付いていきますわよ」
再び僕の不安が掻き消されたのが分かる。
「え……?」
反射的に疑問を投げかけてしまう。
「次が覇流で困っているのですね。明人じゃしょうがないですわ」
「じゃ、決定ですねっ! 姉御、お供しやすっ!」
微笑む紀伊さんにふざけてみる瑠璃。次第に僕の不安が薄れてく。そうだ、この二人の前で僕の不安なんかはこれっぽちの価値もないのだから。そう決め付ける。瑠璃の話だけは例外なのだが。