コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: モノクロ:コード【人気キャラ投票実施中っ!】 ( No.62 )
- 日時: 2013/02/02 17:59
- 名前: しょめ (ID: s1qwLtf7)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode
僕は泣きじゃくっていた。そのせいで周りに気づかなかったのかもしれない。フワッと、何かに包まれる感触。僕の鼓動が大きく波打った。
「お、お母……さん……?」
「大丈夫ですわ」
母と同じ言葉。母と同じ温かみを感じた。でも母とは違う違和感。僕は振り向いた。
「紀伊……さん?」
そこにいたのは、和服美人の紀伊さんだった。僕が紀伊さんの名前を呼ぶと、紀伊さんは僕を包んでいた手にさらに力を込める。少し強かった。でも、苦しくはない。
「大丈夫ですわ、明人。皆同じでしたの。上総ちゃんも越後も。月夜は相変わらず無愛想でしたが、裏で泣いていましたわ。そしてもちろん——、瑠璃も」
僕を包んでいる状態でそう囁いてくる紀伊さん。そうか。僕が始めて彼女に会ったとき、どこか懐かしい雰囲気がしたのは——、お母さんに似ていたからなのだ。
「大丈夫ですわ。さぁ、涙を拭くのですのよ。管理人に会いに行きますわ」
暖かな温もりが、僕を優しく包み込み、落ち着かせた。
神様、これはあなたなりの謝罪なのですか。それとも単なる偶然なのですか。偶然か必然か、どちらなのですか。あなたは僕に何を求めているんですか——?
もし神様が僕に期待を抱いているのなら、きっとそれは打ち砕かれるでしょう。だって僕は。国ヶ屋明人ではなく、コード:07 明人は。
名前の如く生きてやると決めたから。汚くても薄汚れてても、僕は男なのだから。生き恥を——晒してやる。母に、紀伊さんに包まれて僕は一つの決断をする。そうだ、母の言葉には続きがあった。
明人、泣いてもいいのよ。泣いたら誰かが必ず助けてくれるもの。でもね、ただ泣いているだけなのは弱虫と同じ。本当に強い人はね、ただひたすら泣いて、包まれて。
その人の胸の中で強くなると決めるのよ。
それが続きだ。母が僕に送った、温かい言葉。
そうだ、僕は強くなる。