PR
コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: モノクロ:コード【人気キャラ投票実施中っ!】 ( No.63 )
- 日時: 2013/02/02 18:01
- 名前: しょめ (ID: s1qwLtf7)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode
涙が引いていくのを感じる。母があの事故の前にも言っていた口癖。あの4文。あの言葉が僕を支え、強くしてくれる。だから今も、それこそ管理人に事故を告げられたときも。動揺はさすがにしたが、あの言葉が動かしてくれた。強くなれ、と。胸で強く打っている鼓動に乗せて、それらはやってくる。そのおかげで僕は自分でも不思議なぐらい自信に満ち溢れていて。覇流さんにも褒められて。自分が変われた、そう感じれたのだ。全ては母の言葉から。
「明人、もう大丈夫ですの? まだ泣きたいなら泣くといいですわ」
母と同じセリフを言う。どうしてか途中から紀伊さんをお母さんのように重ねてしまう。未練たらたらだ。
「うん、もう大丈夫だよ。ありがとう、紀伊さん」
「そうですの。じゃあ管理人のところへ行きますわ」
少し事務的でそれでいて母のような言葉。そこには確かに温かみがあった。
僕はこの場所で生きていけるかもしれない。
いつからかそう思うようになっていたみたいだ。そして自然と零れてくる笑み。明るく生きる人に。それが僕の名前の意味だ。
だからそれに恥じないように。笑って生きてやろうじゃないか。
気づいたら紀伊さんは大広間の入り口に立っていてこちらを見ていた。そんな彼女の表情には温かい笑み。彼女は僕に、言葉ではなく、心で伝えてくれた。
大丈夫ですわ。
多分そう言っている。それは僕にだけしか理解できなくて、僕だけにしか通じない。今だけの二人きりの言語だ。
だから僕は微笑み返した。そうだ、笑おう。あの日母が教えてくれたように、真っ直ぐに。
一歩、大きく踏み出す。ここから、僕の新しい人生が始まるのだ。
PR