コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: モノクロ:コード【絵師様募集!詳しくはお知らせにて】 ( No.103 )
- 日時: 2013/02/03 14:54
- 名前: しょめ (ID: cFR5yYoD)
- 参照: http://www.kakiko.info/bbs2/index.cgi?mode
息を飲み込む。一瞬だけ見えた歪な影。それは間違いなく、怪異だ。
「初めて見た……」
僕はそう一言呟く。でもその視線は4つの影が消えたほうへ釘付けとなっている。
凄い。そう心から思った。今まで何もなかった僕がそう思った。これは、どれほどの進化なのだろう。好奇心が抑えられない。
何だかワクワクする。碧さんの気持ちが少し分かるかもしれない。
でも残念なことに、僕は軟弱だ。戦うどころか、このヘリコプターから降りるだけで骨折の騒ぎになるだろう。そんな不安が体中を巡る。少し、ヘリコプターの手すりを握る拳が強くなったのを僕は感じた。
そして再び爆音。
それは先ほど起こった所から数km離れた場所からだ。想像はつく。彼らは怪異と戦って、数km先まで戦いながら移動している。そこで疑問。なぜ動いたのだろうか。戦うことならその場ででも戦える。なのになぜ移動をしたのだろうか。怪異かそこまで引っ張っているのだろうか。それとも、彼らが引っ張っているのだろうか。疑問しか頭に出てこない。
グラッと一瞬視界が揺れた。何、と言おうとしたが、その言葉を言う前にその疑問は解決した。
ヘリコプターが自動で動き始めた。向かう先は彼らと怪異が向かった数km先の場所。今でも轟々と炎が立ち上っている場所だ。今の僕には分かる。僕が今回呼ばれたのは、怪異の抹殺ではなく、見学だ。だからじっくりその場でその目で見ろ、そういうことだ。
確かに恐怖はある。でも、今はそれを上回る好奇心があった。理由は分からない。多分過去の僕が見たら「君は誰?」と言われるだろう。でも、何かが変わったんだ、今の僕は。この短時間で僕は何か生まれ変わった。
それは瑠璃が気を使ってくれたからかもしれない。月夜さんのクールさに呆気に取られたからかもしれない。越後や上総さんが独自のキャラで接してくれたからかもしれない。紀伊さんが優しく包んでくれたからかもしれない。覇流さんが僕を認めてくれたからかもしれない。どれかなんて分からない。きっと全て合わさった結果だと僕は思う。
僕は、皆のおかげで生まれ変わった。