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Re: モノクロ:コード【感想COME!】 ( No.130 )
日時: 2013/02/07 13:12
名前: しょめ (ID: r7gkQ/Tr)
参照: http://mb1.net4u.org/bbs/kakiko01/image/1009jpg.html

 ふと、シュルシュルと僕が立っている位置——ヘリコプターの扉側ではないほうから音が聞こえた。僕は後ろを振り返る。
 僕の後ろに詰まれていた梯子が地上へと落ちていた。
 僕は慌ててそれを掴もうとしたが、すぐに気づいた。
 これは揺れで落ちたのではない。故意的に梯子が地上へと落下していったのだ。そう、多分これは戦っている人たちがこのヘリコプターへ戻ってこれるようにするためだ。改めて、よく出来ている。

 地上に落ちていった梯子がピンッと張った。きっと地上に着いたのだろう。僕は梯子が落ちた場所へと目をやる。
「あ……」
 影が一つ。それは見なくても分かる、彼らの中の一人だ。
 続いて一つ影が増える。
「あれ?」
 影が一つ——足りない。そう、足りない。先ほど見た影は怪異を除いて3つ。覇流さん、上総さん、そして碧さん。でもここにある影は2つだ。
「誰かが足りない……?」
 そう、それはつまり。
「誰かがやられた……?」
 そう僕が言った瞬間だった。体の底から何かが込み上げてくる。それは先ほどまで何にも勝っていた好奇心を打ち破り、序々に競り上がってくる。
 怖い。それが今好奇心に勝っている感情だ。怖い、ただひたすらに怖い。
「う……うわぁ……」
 無意識にそんな声が出てしまう。怖い、怖いのだ。てすりを掴んでいた手がガクガク震える。同時に奥歯も鳴る。体全体が恐怖心に震えているようで、怖い。
「だ、誰かがやられた。——死んだ!? どうしよっ……」
 誰かがやられたかもしれない。誰かが消えてしまうかもしれない。誰かが僕の知らないときにいなくなるのかもしれない。——あの時のお母さんみたいに……。
 あぁ、そうか。僕はやっぱり弱かったんだ。軟弱者だ。所詮、少しだけ夢を見て気を張っていただけだったにすぎない。
 これが本当の僕だ。
 恐怖に必要以上に怯え、ネガティブ思考。そしてデジャブ。
「た……助け、て」
 僕が危険に晒されているわけじゃないのに、そう泣いて懇願する。助けてほしいのは影の彼らのほうなのに。でも一番怖いのは僕だ。
 何が起きたのかも分からない。ただ、期待していたこととは全く異なった結果が起きたのだ。それも望んでいない結果だ。
 恐怖心だけが僕を支配する。第三者のくせに怯えている。あぁ、僕はなんて弱いのだろう。
 でも、これが本当の化けの皮を剥いだ僕だ。