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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: モノクロ:コード【感想COME!】 ( No.133 )
- 日時: 2013/02/07 13:28
- 名前: しょめ (ID: r7gkQ/Tr)
- 参照: http://mb1.net4u.org/bbs/kakiko01/image/1009jpg.html
「明人ぉ!」
下から僕を呼ぶ声がする。威圧感がこもった——覇流さんだ。彼が僕を呼ぶ。でも、応えられない。足がすくむ。何も出来ない。喉がカラカラになって声が出ない、痛い。恐怖で出た涙が止まらない。止まってくれない。
何回か覇流さんが僕を呼ぶ。それも必要以上に。
多分、今僕を必要としている。でもごめなんさい覇流さん。やっぱり僕は軟弱者だ。
——僕は、覇流さんが大嫌いな軟弱で臆病だ。
この感情を僕は経験したことがある。それも何時間か前に。
——お母さんが死んじゃったって聞いたときと同じだ。
そう、この感情は似ている。大事な人が知らないうちに消えた。その絶望感だ。
何も出来ない。ただそれだけで怖くなる。
ふと梯子が揺れた。何が起きたかは分からない。ただ、足がすくんでいて思うように動けないため、確認できない。
したいけど——できない。
歯痒い。助けたい。
でも、出来ない。ただそう思うだけ。実行できない。
それが本当の僕だ。薄っぺらい勇気を剥ぎ取られた僕だ。醜い奴だ。
「明人ぉ!」
再び威圧感のある覇流さんの声。ただ今回は少し怒声も混じっているような感じだ。
そうだ、きっと覇流さんには失望された。薄っぺらい勇気で見せかけただけの男。結局は弱っちい。
梯子の揺れが大きくなる。何かが近づいてくるような雰囲気。
そしてふと僕の目に映ったのは——。
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