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Re: モノクロ:コード【感想COME!】 ( No.147 )
日時: 2013/02/13 19:03
名前: しょめ (ID: Y8zst102)
参照: http://mb1.net4u.org/bbs/kakiko01/image/1022jpg.html

 もちろん、無言だった。会話どころか、物音一つない。あるとしたら、それはヘリコプターが出すエンジン音ぐらい。
 覇流さんはさっきまでより無愛想な表情をして、外を見つめている。上総さんは未だピクリとも動かない瑠璃の様子を見ている。
 そう、瑠璃が——やられたのだ。上総さんいわく、気絶しているだけだそうだが、どうも嫌な予感がする。
 瑠璃、もとい碧さんがやられたとすると、僕に元気に話しかけてくれた後。多分、彼女は油断したのだ。詳しくは僕は戦場に出ていないから分からないけど、推理するとそうなってしまう。
 そうだ、絶対そうだ。碧さんは僕を気にかけて怪異に攻撃されてしまったのだ。
 確信はないけれど、そう思ってしまうとその考えがなかなか抜けない。また怖くなって、体の奥が震える。
 怖い。何が怖いのかはまだよく分からない。初めて見る怪異の存在が怖かったのかもしれない。瑠璃がやられてしまったことが怖かったのかもしれない。はたまた、覇流さんの態度が怖かったのかもしれない。あるいは、その他か。どれを取っても最悪なのだ、全てが。おまけにそれにほとんど出ているのが——僕なのだ。

「ご……ごめんなさい」
 消え入るような声で僕は言った。この空気を破りたかったわけじゃない。僕の犯した行動について謝りたかったわけじゃない。ただ、そう言いたかっただけ。
 何の返答も期待していない。罵ってほしくはないけれど、当然許されたくもない。僕だって、一応だが男なんだ。

 その僕の思考を読み取ったのか、ただ答えたくなかったのか。やはり返答は誰からもなかった。それでいいんだ。悪いのは僕なのだから。
 弱虫のくせに。軟弱なくせに。何もできないくせに。そんなときだけ『男だ』と言い張る。なんて最低な奴なんだ。自分でもそう思う。自分は最悪最低だ。
 なのに——誰かに助けを求めている。
 もう、どうしようもないぐらいに。このまま僕はこの空気に押し潰されてしまうのかとも思う。何もできない。ただ、それだけ。
 それだけなのに——罪悪感がグルグルと渦巻いては絡まる。