コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: モノクロ:コード【感想COME!】 ( No.187 )
- 日時: 2013/03/02 14:50
- 名前: しょめ (ID: /BuoBgkT)
- 参照: http://mb1.net4u.org/bbs/kakiko01/image/1090jpg.html
そんな自覚した僕は、自分の頬に手を当ててみる。
「…………」
自分の頬はちゃんと濡れていた。動揺が走る。
僕はコードの中で一番狂っている。そう今はっきりと自覚した。
大切な人を失いそうなこの時にも泣くことができない。普段泣き虫なのに、涙が出ない。そう思っていた。
でも、やっぱりよく分からない。
狂ってる。そんな自覚をしている自分だが、何だか悲しいんだ。
もしかしたらもう瑠璃に会えないのかもしれない。もう瑠璃を見ることがないのかもしれない。もう瑠璃の笑顔を——見れないのかもしれない。
そんな思いが溢れてきて、どんどんと僕の頬を濡らしていく。
「お前は狂ってなんかない」
まだ泣いている、鋭い目の前の彼はふいに僕に断言してきた。それはいつも僕が困るほどに鋭い、まるで心の中が見えているんじゃないかと思うぐらい鋭い読み。
「僕は……狂ってる」
自分で言い、自分で傷ついた。
もしかしたら自分は狂っていないのかもしれない。そんなことをこの自分の涙を感じで思ったから。
できることなら自分の狂気を否定したい。
「僕は泣いてない」
「そんなプライド作るな」
「…………」
「俺は知ってる。お前がお前のお母さんが死んだと伝えられたときのことを」
「え?」
「お前はあの時も泣いていた。紀伊さんに支えられて泣いていた。狂っていたら泣けないんだ!」
そう、断言された。
彼の放った言葉は廊下に響き渡り、そして消える。
「何でそこまで……」
僕はずるいのかもしれない。そう思いつつも、疑問に思ったことを素直に彼にぶつけた。
聞きたかったから。今まで生きてきて16年、ここまで僕のことを断言してくれる人なんていなかったから。自分が気になってしょうがなかったのだ。
「決まってるだろ」
彼の言葉から、嗚咽が消える。
「俺たちは友達だからだ!」
そんなことを彼は堂々と、はっきりと言う。僕は言葉を失った。あぁ、と僕は思う。
初めてだった。まだこのモノクロ:コードへ来て、数時間しか経過していないのに、ここまで言ってくれる人に会った。
「…………っ」
緊張の糸が解けたのか。僕は吸い込まれるようにして床へヘナヘナと座り込んだ。
グー……。
そんな音が僕のお腹から聞こえてくる。思えば僕は瑠璃との施設見学の際、お腹が空いていたのだ。それから怪異の抹消に同行して、瑠璃が……。空腹のことなんか、すっかり忘れていた。
「プッ……」
シリアスな雰囲気に、いきなりのお腹の音。さすがにこれ以上滑稽なことはないだろう。
「何だよ明人、腹減ってたのかよ!」
そんな滑稽なものに、越後はつい吹き出して笑う。さっきまでの真剣な表所うとは別に、いつもの明るくて元気な少年の顔だった。
「まずは食堂へ行こうぜ。話しはそっからだ!」
スッと僕の目の前に手が出される。
何だかお腹の音と出される手に羞恥心を覚えたが。
「うん」
僕はその手を取り、立ち上がって彼と食堂へ向かった。