コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: Doppelganger ( No.13 )
- 日時: 2013/01/07 13:59
- 名前: みかん ◆svacoLr1WE (ID: NJc/rStM)
#3 『あの子』との再会
学校が見えてきた。
……うっ、ちょっと緊張してきたかも。
近くなるにつれ、足は次第に震えていった。
ばれたらどうしよう……。またあんな事言われちゃうかな。
そんな事を思っているうちに学校に前に着いてしまった。
……どうしよう、今なら引き返せるけど……。
————っ、だめだめ。もう行くって決めたんだ。逃げちゃだめ……。
「あの……すみません」
ん?
「はい……うっ、わぁぁぁぁ!!」
私は凄い声を上げてしまった。
だって目の前には『あの』中村綾がいるんだもん。
————……もしかして、バレた?!
「……え? ど、どうかしましたか?」
目の前の綾はごく普通に言った。
ん……? バレてない……っぽい?
「い、いや…… そちらこそ、どうかしましたか?」
「————そうだそうだ。はい、これ落としてたよ」
そう言って綾は、何かを私に渡す。……?
「ああっ!! 私……じゃなくて、俺のハンカチっ!」
落としてたんだ……。ってか私……『俺』って言っちゃった!!
でも、これからは『俺』って言わないと変だし、気をつけよう。
「あ、ありがとうございました」
「どういたしまして。そういや君、初めて見るけど……もしかして転校生??」
……ハッ、そうだった。
「は、はい」
「何年生?」
「えっと———……、中2です」
あ、って言う事は……。
「うっそ、同じクラス?!」
綾が高い声で言う。
「名前、なぁに?」
あ、そうだ。名前、変えなきゃ……。
う——ん……斉藤はる、から……、そうだ!!佐藤春馬!!
(『さいとうはる』→『さとうはるま』)
「えっと、佐藤春馬」
……で、いいんだよね。
「へぇ、春馬ってかっこいい名前!!」
「あ、どうも」
本当の名前じゃないんだけどね。
「あ、教室の場所、分かる? 私が送ってあげるよ」
え……分かるのに。しかも返事してないのに、綾は『俺』の腕を引っ張る。
「あっ」
恐れていた『学校』に簡単に入ってしまった————!!
「はやくはやく〜」
ぐいぐい引っ張られて、ついに教室の前まで来てしまった。
「いい? これから春馬君の教室はここだよ?」綾は笑う。「ちゃんと覚えてね?」
そのまま教室に引きずられ、まさに『転校生デビュー』。
みんなが俺の方を見る。みんなの目は「あんた、誰?」と言ってるように見えた。
「えーっと。俺、佐藤春馬っていいます。これからよろしくお願いします」
一瞬シ——ンとしたが、5秒後ぐらいに教室の雰囲気が変わった。
「へー、春馬君よろしくね」
「春馬、よろしくなー!!」
「あれ、なんか急だな」
「まぁ、いいじゃん。かっこいいしさぁ」
俺は少し照れたように笑うと先生が言った。
「みんな仲良くするように……。じゃあ、佐藤の席は……」
一瞬先生が固まった。
「あ、決めてなかったな。佐藤、ちょっと待ってろよ」
……え、決めてなかったって……。ってか何するんだ?
「どちらにしようかな、天の神様の言う通り♪」
————っえええ!!『どちらにしようかな♪』って、相変わらずだな……。
「よし決めた。佐藤、お待たせ。お前の席は———」
少し、緊張。
「中村綾の隣だ」
○△◆◎@#*●?!?!?!
まさか、綾の隣————?!
「春馬君、座りなよ」
綾が笑いかけてくる。……とりあえず、座ろう。
そんで、『黒板が見えません』って言えば、席ぐらい変えてくれるだろう……。
俺は目を小さくしたり大きくさせたりして、目が悪い人を演じた。(実際は視力2.0ですけど)
「はいっ、じゃあ授業始めますー!!」
先生はにこやかに授業を始めた。
……っえ———?!
先生、気づいてよ———!!
隣で綾が話しかけてくる。
「春馬君、これからよろしく。———っあ、そうだ。私の名前……、中村綾」
……知ってます。
「……そっ……か、よ……ろ……し……く」
あぁ、どうやら俺は、男子になっても、ついてないらしい。