コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: Doppelganger ( No.23 )
- 日時: 2013/01/09 07:54
- 名前: みかん ◆svacoLr1WE (ID: lL8RIxSj)
#4
「じゃあ、佐藤この問題を解いてみろ。難しいぞー?」
先生が俺に向かって言った。
「……はい」
答えが分かった俺は、黒板に答えを書いた。
みんなの目が大きくなるのが見える。
「さ、佐藤……正解だ」
みんなが拍手してくれた。俺はその拍手と共に席に着く。
「春馬くん、すごーい!!」
隣の綾が話しかけてくる、
「あ、ありがとう」
俺は少し照れて笑った。
『キーンコーンカーンコーン♪』
あ、チャイム鳴った!!
やったぁ、次はお弁当だ! あー、楽しみー!
だって今日のお弁当は、蒟蒻ゼリーが入ってるんだもん!
「はい、じゃあ授業はここまで」
先生が言った後、学級委員長が「きりつ、れい」と言うと皆はばらばらと席を外した。
あぁ、お腹すいたなー。早く食べよーっと。
「ねぇ、は、春馬くん……?」
振り向くと真っ赤な顔をした綾がいた。
「……ん? なに?」
俺は短く返事をする。
「あの……さ、お弁当……一緒に食べない?」
あぁ、お弁当ね。
綾、あんまり男子を誘わないから緊張しているのかもしれない。
「いいよ、……でも何で俺と……?」
綾はさっきより赤くなっている。
「……色々、話したい事が……あるから」
————……話したい事?
「へぇ、……分かった。行こう?」
「————? 行くってどこに?」
不思議がる綾の赤い顔は少しもとの色に戻る。
「いいからいいから、付いておいで」
俺と綾羽、お弁当を持つと外へ出た。
*
「ほら、ここだよ」
俺は綾を連れて、桜の見えるスポットへとやってきた。
「————!! わぁーキレイ!! こんなとこ、あったんだ」
「へへへ、」
だってここは、前に俺が女だった頃によく来てたから……。
落ち着くんだよな、ここ。
「た、食べよっか」
「うん」
お弁当を開ける。
……わ、やっぱり蒟蒻ゼリー入ってる!!
しかも大好きなぶどう味。お母さんは俺を気遣ってくれたのかもしれない。
好物のウインナーも入っている。
「いただきまーす」
———最初はたこさんウインナー。
……うわ、うっま。
————次はおにぎり、
お、意外とうまい。……新米なのかな?
って、あれ。
「————綾、全く食ってないじゃん!!」
綾がびくっと反応する、またどんど赤くなる。
「よ、よよよよ、呼び捨て?! 今、綾って……?!」
————!! やべ、昔のくせで———。
「え、そのごめん。今俺、『綾』って言った? えーっと、そのごめん」
「ん、……ううん」
「……え?」
「い、いいから。そう呼んで?」
うわ、どうしよう。
疑われる種を作っちゃったんじゃないかな??
「ちょっと……私の前の話してもいい?」
「————う、うん。いいけど」
なんで……今?
「私ね、前、いじめてたことあったんだ」
———お、俺の事?!
「も、もちろん今はいじめてないよ? ——で、そのいじめられてた子は……」
「えっ————と」
ど、どうしよう。まだ心の準備がぁぁぁ。
「斉藤はる、って子なんだけど……。すっごく春馬くんに似てて」
そりゃ、同一人物だもん。
似てて当然……なんて言えないけど。
「な、なんでその子の事、いじめたの?」
俺はとっさに今まで気になってた事を質問する。
「う……う——ん。男の子には分からないかもしれないけど……」
綾はお弁当の蓋を閉める、
もう食べないらしい。
「私、当時すごく好きな人が居てね、その子とたまたま一緒に写ったツーショットを大切に持ち歩いていたの」
少し恥ずかしそうに綾が笑った、が、すぐに険しい顔に戻る。
「ある日、その写真を部室にわすれちゃって……」