コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 狼たちと同居中。【3/15までアンケート実施中!】 ( No.101 )
日時: 2013/03/12 17:42
名前: 朔良  (ID: 2IhC5/Vi)

      第7章 ピンチです。

 それは、私の友達、大澤伊代音の一言から始まった。
「あゆみってさーどこに住んでるの?」
「……へ?」
 どういう意味? という顔を私がしていたからだろう。
「ほら、あゆみの家って行ったことないからさ。年賀状も送らないでって言われるし」
「そういえば、そうよね……」
 クロも同意の顔でうなずく。
 いやいや、年賀状は葉書を買うお金がもったいないからです……なんていえなーい。
「たしか、お父さんが単身赴任中で、あゆみちゃん今一人暮らし中なんだよね」
 曇りのない笑顔でゆきが言う。
 ごめんなさい……。単身赴任なんて立派なものじゃないです。家出中です。
 それに、私の住んでいるところなんて言えるわけない。だって、この学校の『王子四天王』という人たちと住んでるんだから。
「でさ、今度行っていい? あゆみの家」
「あー……最近忙しくてさもう少し後にしない?」
 こんなことを言っておきながら、きっと私は一生連れて行かないだろうな……と思う。
「え……そ、そんなに私が行くの嫌、かな?」
「え? そんなわけないじゃん!」
 ゆきの自虐発言が出て、つい私は口走ってしまった。
「良いよ! 今週末、私の住んでるとこに招待するから!」

 そんなことを言ってしまった学校の帰り道。私は尋常じゃないほどの重いオーラを放っていたと思う。

「あれ、あゆみちゃん! 何やってんのー?」
 後ろから声がして、振り向いていたのはリク君だった。私を見つけて小走りに走ってくる。
「なんか暗いよー? どうしたの?」
「……リク君。最初に謝っておくね。ごめんなさい……」
「へ? 何いってんの?」
 困惑した表情でリク君が私に言う。そりゃそうか。

 私は、一連の話を並んで歩きながらリク君に話した。
「へー。……で、今の話のどこに謝ることがあったの?」
「え、だって、迷惑掛けるから……」
「全然! だって、あゆみちゃんの友達が遊びに来たいって言ってるんでしょ? じゃあ、皆歓迎するでしょ」
 当たり前でしょ? みたいな顔でそんなことを言うリク君が今の私には神様のような存在に見えた。
「あ、ありがとう……」
 それからは、ただの雑談だった。
 だが、荘につく少し前、リク君は思い出したように切りだした。
「良いとは思うけど……、泉、良いって言うかな?」
「あ……」
 絶対嫌というだろう。人間関係が嫌いな泉君のことだ。まずは、星屑荘の皆を納得させることから始めないといけない。

 そして、私は思った。
 私、星屑荘にお世話になってて、伊代音とクロとゆきに恨まれるんじゃ……と。


              
                  第7章 続く