コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 狼たちと同居中。【特別番外編〜執事喫茶編〜お題も募集中】 ( No.158 )
- 日時: 2013/04/05 12:01
- 名前: 朔良 (ID: 2IhC5/Vi)
参照1000突破記念番外編〜狼たちと執事喫茶〜
その女子なら皆ときめくような誘いは、突然、前触れもなくやってきた—……。
「執事喫茶ぁ?」
真さんは呆れたような声を出した。
今日は、久しぶりに私の恩人、神崎星子さんが星屑荘にやってきていた。
「そうなの。私の知り合いのお店なんだけれど……集団感染してしまってね、人手が足りないらしくて……それで、あなた達に行ってもらいたいのよ」
「……それはつまり、俺達にそこで働けと?」
「そういうこと。さすが泉ね」
冷静に言う泉君だが、きっと心の中はすごいことになっているだろう。
「働くといっても、一日だけよ。大丈夫でしょう?」
「一日ぐらい……なんとかできないのでしょうか?」
和希さんも神崎さんに対してだから、丁寧な口調だけど、本当はすごくやりたくないのだろう。
「ええ。まあね……。そうだ! あゆみさんもこない?」
「へ?! 私?」
急に話を振られたので驚いた。
「そう! あゆみさんも執事喫茶でのんびりしましょう? いつもこの子たちの世話だけだと疲れるでしょう?」
神崎さんが目を光らせて私を見つめる。
確かに、執事喫茶なんて、女ならば一度は行ってみたいと思うものだろう。だけど、そんなことしたら、この人たちが不便すぎる気もする……。
「いや、あの……私は……」
そう言い始めた途端、真さんと泉君と和希さんが「よくやった」みたいな顔で私の方に振り向く。
「えー、何で? 良いじゃん、楽しそうで!」
そう私の後ろから聞こえた声、それはリク君だった。
「そうよねえ! リクは聞きわけのある子だわ」
神崎さんが笑顔でリクを見つめる。
そうして30分ほど議論をし、結局一日だけ執事喫茶で働くことになった。私は見学してて良いと言ってもらえたので、遠慮なくついていくことにした。
「えー、皆さん、今日は本当にありがとうございます。人数不足で店を一時休止しようと思っていたほどなので……。あなた達がいれば女性客は大盛り上がりでしょう!」
—やってきたのは、執事喫茶「love・world」。その店長、櫻井さんに喫茶の簡単な説明を受けていた。
「ここでは、『シチュエーションラブ』というものを行っています。最初の接客の時に、お客様にくじを引いてもらいます。そこに書かれたシチュエーションで接するのです」
櫻井さんはくじが入った箱をとり、紙を開き、私達に見せた。
そこには、「姫と騎士」「お嬢様と執事」「ツンデレ少年と天然少女」「白雪姫」……など、たくさんのことが書いてあった。
これをあの4人がやるのか……。かなり辛そうだ。
私は見ているだけだと思っていたので、他人事のように感じていた。……だが、地獄はそこからだったのだ。
「まず、開店前に白原さんと練習をしてみてください。きっとうまくできますよー」
「え」
そう言い残し、櫻井さんは部屋を去って行った。残ったのは私と狼たちだけ。
……からかうのが好きなあの人たちのことだ。きっと……
「……あゆみちゃん! 練習、はじめよっかー」
後ろからリク君の楽しそうな声が聞こえる。
店長……最後にしていったよ……!
続く