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- Re: 狼たちと同居中。【特別番外編〜執事喫茶編〜お題も募集中】 ( No.163 )
- 日時: 2013/03/21 11:14
- 名前: 朔良 (ID: 2IhC5/Vi)
参照1000突破記念番外編〜狼たちと執事喫茶〜
うん。どうしようか。
部屋に残された私達。
てっきり、見学だけで済むと思っていたのに、なぜか練習台にならなくてはいけなくなってしまった。
「最初誰とやるー?」
ノリノリなリク君を今だけは恨んだ。
「—……もちろん、俺とだろ」
「わ……」
真さんが私の腕を引っ張る。そのまま奥の『練習室』と書かれた部屋に入っていく。
練習室は真ん中にテーブルがあり、二つ椅子が置いてあって、テーブルの上にはくじの箱が置いてあった。多分、これを引け、ということなのだろう。
「……引けよ、あゆみ」
「う……はい」
私はおそるおそるくじを一つ引いた。カサ……という音を立てながら、紙を開く。
そこに書いてあった文字は、『赤ずきんと狼少年』
……なんだろうこの、デジャヴ感ー!
「赤ずきんと狼少年? ふーん……」
そう言ったきり、真さんと私は机を挟んだまま椅子に座っていた。まだ一分もたっていないだろうけど、時間がすごく長く感じる。
私はその沈黙に耐えきれなくなり、声を出すことにした。
「あ、あの……」
『もう戻って良いですか?』そう続けようとしたが、その声は遮られた。
「お前さあ、何で俺のこと『さん』付けで呼ぶわけ?」
「……はい?」
……今、何でその話?
「リクは年下だからにして……同い年の泉は『泉君』て呼んでるだろ。俺も同い年なんだけど」
「いや、和希さんも『さん』ですけど……」
「それは年上だからだろ!」
急に大声を張り上げてきた。何でだろう。そんなことで怒っていたのか?
「何? そんなに距離あけていたいわけ?」
「……別に、タイミングがなかっただけで、真君て呼んでほしいなら呼びますよ?」
そう言った途端、真さ……訂正、真君がきょとんとした顔で見つめてきた。
「そんなに呼ばれたかったんですか? 真君て」
そう何気なく私は言ったつもりだったが、真君の癇に障るようなことを言ってしまったらしい。
「……お前、そんなこと言って良いのか?」
前のめりに真君が近づいてくる。
「え? ちょ……」
私は椅子を立ち、一応回避する。だが、真君も席を立ち、私の方へ来る。
「あゆみは赤ずきん、俺は狼少年……なんだろ?」
真君はそう言って、私を抱きしめた。
「いやあああ?! は、離して下さい!」
私は泣き叫ぶような声で抵抗する。
「なにそれ。そんなに嫌かよ……」
そう言い、腕に力を入れてきた。
「……どうせ逃げられないんだからさ、大人しくしてろよ」
そう言って、一度声をきり、私の首元に顔を寄せる。
「—……赤ずきんは、お婆さんのところに行く前に、狼の檻の中に、監禁されてしまいましたとさ」
真君は、私の首元に唇を寄せた。
「い、たっ……」
そう言って、練習室から真君は颯爽と出て行った。
私はその場に座り込む。
多分、首元には……。
「なんなのよ、もう……」
こんなことがあと三人も続くなんて、耐えきれないと思うのは私だけでしょうか?