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Re: 狼たちと同居中。【特別番外編〜執事喫茶編〜お題も募集中】 ( No.167 )
日時: 2013/03/21 17:10
名前: 朔良  (ID: 2IhC5/Vi)

 参照1000突破記念番外編〜狼たちと執事喫茶〜 和希目線

「あれ、真終わったのー?」
「ああ」
 練習室から真が出てきた。
「あゆみちゃん、どうだった?」
「反応がいちいち面白い」
 思い出し笑いをするように微笑みを浮かべながら真がリクの質問に答える。
「……で? 次は誰が行くわけ?」
 泉が冷静に言う。
「じゃあ、僕が行くよ」
 僕は早めに終わりたくて、先に行くことにした。

 練習室に入ると、あゆみさんが箱の前で手を合わせ、祈っていた。
「どうか、どうか恥ずかしいのが当たりませんように……」
 そんなに真剣に祈ってるということは、真とのがかなり辛かったということだろうか。
「あゆみさん」
「はいっ?!」
 急に声をかけられ、驚いたのだろう。声が少しが裏返っていた。
「あ、ああ……和希さん! すみません、変な声出してしまって……」
「いや、大丈夫だよ」
 僕は笑いを堪えながらあゆみさんに言う。
「じゃ……クジ引いてもらえるかな?」
「はい」と言いながら箱の中にあゆみさんは手を入れる。一枚引き出し、内容を読み上げた。
「……姫と騎士……」
「………」
 あゆみさんが『さっき祈ったのに……』のような顔をしている。僕はからかいたいな、と反射的に思った。
「……姫」
「ひゃい?!」
 僕はあゆみさんの前でかしづく。
「僕は姫の剣となり、盾となります。ご命令があればなんなりと……」
 よくもまあ恥ずかしがらず出来るものだ、と自分に感心してしまった。
「……ふふっ」
 あゆみさんがうつむきながら笑う。
「……姫?」
「……和希さんが本当の騎士だったら、素晴らしく頼りになりますね」
 無邪気に笑いながら言う。
 そんな顔をして……彼女は、襲われたいのだろうか?
「……姫。あまりからかうのはよして下さい。……騎士だって、時には遊びたくなるものですよ?」
「え? どういう意味です……」
 彼女の声をさえぎり、あゆみさんの頬に口づけを残した。そのまま思い切り抱きしめる。
「あのっ……?!」
 彼女はきっと真っ赤な顔をしているだろう。
「時には、守る側ではなく、襲う側にもなりたい……という意味ですよ、姫」
 手を離し、あゆみさんから体を離す。案の定、彼女の顔は真っ赤になっていた。
「……そんな顔して……もっと、激しいのを求めているのですか?」
「もっ、求めてなんかいません!」
 あゆみさんが顔を隠しながら言う。言葉で攻めるのが弱いのかもしれない。
「では、これで終わりにしましょうか、あゆみさん。次の人まで少し休んでいた方が良いと思うよ」
 僕は優しく声をかけ、練習室を出た。


「お、和希。どうだった?」
「……なんか、楽しかったよ。リアクションが大きくて、からかいがいがある」
「……さすがドs……」
 泉が何かを呟いたようだったが、聞こえないふりをした。

 今頃、また箱の前で祈っていると思うと、顔が緩みそうだった。