コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 狼たちと同居中。【特別番外編〜執事喫茶編〜更新中】 ( No.186 )
- 日時: 2013/03/25 19:31
- 名前: 朔良 (ID: 2IhC5/Vi)
参照1000突破記念番外編〜狼たちと執事喫茶〜
「あーゆみちゃん!」
「ひゃ?!」
急にリク君が練習室に入ってくる。
「もー。僕一番最後でずっと待たされたんだからね! ほらっ、早く引いて引いて!」
「う、うん……」
今回は祈る時間がないほどのスピードで始まっている。
「……『お茶会タイム』?」
なんかおかしくないだろうか? と思ったときに、瞬時にリク君の言葉が入る。
「なんか作者がやりたいことと合う設定がなかったから無理やり……て感じがするね」
うん。きっとそうなんだろう。だけどもう少しオブラートに包んであげた方が良いんじゃないだろうか?
「お茶会って言っても……お茶も何もないよ?」
「あゆみちゃん! 冷蔵庫にケーキ入ってるし、お茶の葉も見つけたよー」
行動がはやい。ついていけないほどだ。
「私が入れるので、座ってて」
「本当? ありがとうー」
そう言われると、すぐさま椅子に向かう。そんな自由なところもリク君だから可愛いと思える。なんか、『弟』って感じだなあ。
「リク君! お茶入ったよー。それと……はい、ケーキとシュークリーム。どっちが良い?」
「うーん……じゃあ、こっちのショートケーキが良いかな」
お茶とショートケーキをリク君の方へ差し出す。
そして、リク君はケーキを一口食べる。
「うわ、すごい美味い!」
「本当……。こんなの食べたことない」
さすが、喫茶店。執事喫茶でも食べ物の味は落ちていない。これなら人がたくさんくるだろう。
私は何度も感心した。
「……リク君。クリームついてるよ」
私はリク君の顔に着いたクリームを手で拭う。
リク君相手だから、こんなことも平然と出来てしまうのかもしれないと感じた。
「ありがと。……あ」
リク君はそう言い、私の方へと身を寄せる。
「あゆみちゃんも……」
そう言い、私の頬に手を伸ばす。
そこまでは、良しとしよう。でも、問題はそこからなのだ。
その拭い取ったクリームをリク君は食べた。
「—っ?!」
「あゆみちゃんて甘いんだねえ」
「わ、私は甘くない!」
別に問題はないと思うけれど、なんだか恥ずかしい。
「あゆみちゃん。こっちのケーキ食べなよ! すごい美味しいよ」
満面の笑でリク君が告げる。
でも、それって……。
「う、ううん。遠慮しとくね」
「遠慮なんてしないで! ほら、あーん」
フォークはもう私の目の前まで来てる。
こんなことされてしまっては食べるほかないのか?!
私はおそるおそるフォークに顔を近づける。そのまま食べさせられる。
「ほら、美味しいでしょ?」
「う、うん……」
きっと私の顔が赤くなっていたのだろう。からかうような顔でリク君が言いだした。
「ポッキーゲームしようよ。あゆみちゃん。分かるよね? 二人で一本のポッキーを両端から食べるやつ」
「ポ、ポッキーゲーム?! それだけは無理!」
最終的にかなりやばいことになる。それは恋人同士がやったりするものではないだろうか。
「えーどうして? したいなあ……あゆみちゃんと」
がたがたと音を立て、私は席を立つ。そのセリフで私の心臓はもう限界が来た。
そのまま練習室を飛び出す。
「え、あゆみ?」
勢いよく出てきた私に他の3人は驚いたようだったが、私はその場に座り込んだ。
リク君も練習室から出てくる。
「で、誰が一番良かった?」
そう真君に言われる。
「……そんなの考える余裕なかったです」
その後、「love・world」は大盛況。
過去最高まで売り上げを伸ばし、長かった一日は終わった。
完