コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 狼たちと同居中。 ( No.214 )
- 日時: 2013/03/29 10:37
- 名前: 朔良 (ID: 2IhC5/Vi)
第10章 父、帰還。
「ここが、星屑荘……」
星屑荘の前で佇む一人の男。
男が持っていた紙には、こう書かれていた。
—あゆみさんはここにいます。 神崎星子
そう書かれ、地図もあった。
男はインターホンを鳴らし、心の準備をした。
「はーい。今出まーす」
私は流しの水を止め、扉へと向かった。
本来なら、顔と声を確認する物もあるのだが、ここへやってくるのはまれに友達、それか神崎さん。
だから確認はしなくなった。
「はい。どちら様でしょう……」
扉を開けたとたん、身体の動きが止まったのが分かった。
扉の向こうに居たのは男。不安そうな顔をしながら少し笑った。
「……お父さん?!」
私はついそう叫んでしまった。
5分後、私はリビングルームで父と向き合って座った。
「……久しぶり」
「久しぶり、じゃ、ない!」
今の私はそうとう機嫌が悪いように見えただろう。キッチンから、4人が私達を覗き込んでいる。
これは機嫌が悪いのではない、正当なことを言っているのだ。
「久しぶりって……よくもそんなセリフが吐けるわね。今までどこほっつきあるいていたの?」
「……実家に、帰ってた……」
「……はあ?!」
私もどうやら限界らしい。
「……経緯を話して。今なら精神的に追い詰める4分の3殺しにしてあげるから」
その言葉を聞いた狼たち。
「……あゆみちゃんてあんなキャラだったっけ?」
「さすがに我慢できなくなったんだろ」
—どうやら、お父さんは家を出たが、特に仕事もせず、住む場所もなく、途方に暮れて家に戻ったら、家は立ち退き強制が出た後。
私がどうなったのかも分からずに実家に戻ったようだ。
そして、ある日、私が戻ってきていないかもう一度確認しに来た日、私の元の家の前に神崎さんがいたらしい。
そして、ここを教えてもらった……ということだ。
「……父さん、生まれ変わったんだ! 職も見つけてきた!」
「……職を見つけた?!」
すごい。それは見直した。
「ああ、父さんの知り合いの会社に入れてもらったんだ」
それまでは私の気分も良くなってきた。
……その次の言葉を聞くまでは。
「そのかわり、お前に婚約してもらうことになった!」
「へー、婚約! 私が! ……え?」
一度冷静になった。
婚約というのはつまり、結婚しろと……?
「……婚約?!」
続く