コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 狼たちと同居中。 ( No.271 )
- 日時: 2013/04/04 14:21
- 名前: 朔良 (ID: 2IhC5/Vi)
第13章 当日
私の頼れる4人の王子様がやってきてくれた。
「わーあゆみちゃんドレス似合ってるね!」
リク君が私の姿を見て言ってくれる。
「そう? ありがとう。……でも何で皆新郎みたいな格好してるの?」
4人とも寿君と似たような格好をしていたのだ。かなり似合ってるけども。
「……まあ、少しの遊びだけど」
一番嫌がりそうな泉君でもさらっと言ってしまった。
「な、なんなんだよお前達!」
お父さんが血の気の引いた顔で言う。
「そんなの……」
「白原さん」
私の言葉を遮り、寿グループの社長……つまり寿莉都のお父さんがこちらに近づいてきた。
「……こんな寿グループの顔に泥を塗るようなことをして……どうなるか分かっていますか……?」
言葉は静かで丁寧だけど威圧感はすごい。
「分かってます。私達もそれぐらいは覚悟してやっていますから」
「覚悟って……あゆみも仲間なのか?」
鈍いお父さんはまだ気付かない。仕方がないから私が説明してやった。
「あのね……これ計画したのは私達。で、計画してって頼んだのは私」
客席がざわざわとする。
でも、今の私は何も怖くない。
頼もしい人たちがいてくれるから。
「嫌だったの。好きでもない人と結婚して、私が犠牲になるのなんて」
そう言った途端、寿君の顔が怒りと恥ずかしさで赤くなっていた。
「き、君は何も分かっていない! 寿グループに反抗して……どうなるか分かっているのか!」
「どうなるのですか?」
優しく、穏やかな声が届く。
4人の後ろから神崎さんが出てくる。
「遅れてごめんなさいね、あゆみさん」
「いえ、大丈夫です」
笑顔でそう言ってくれた神崎さんに私も笑顔で返した。
「か、神崎さん……?」
そう言って、社長が血の気の引いた顔になった。
そりゃそうだろう。
だって、神崎さんが取締役を務める○×製薬は寿とも繋がっている。簡単にいえば、寿より○×製薬の方が上にいる会社なのだ。
「……寿社長、この結婚式、なかったことにしていただけるかしら?」
「で、でもそれは……」
社長がそう言いかけた時、急に神崎さんの笑顔が冷たくなった。
「……泥を塗るですって? 今どき政略結婚なんてさせる方が泥を塗ることではないでしょうか?」
神崎さんがそう告げた途端、社長は崩れ落ちた。
神崎さんが笑顔で振り返る。私達も笑顔になった。
「さ、じゃあ行くか」
「え? どこへ……はい?!」
真君に抱きかかえられる。
「星屑荘にだよ!」
リク君が私の手を握りながら言う。
「あ、あゆみ!」
後ろからお父さんに呼ばれる。
「……ごめんね。でも、私幸せになったから」
これが、私の幸せだから。
これは言わなくてもお父さんに伝わったであろう。
「……コレ」
泉君がそう言いながら私に1枚の紙を渡す。
「……これ、婚姻届?! 寿君が持ってたはずじゃ……」
私がそう言うと、寿君の「えっ?!」という呟きが聞こえてきた。
「登場する前に……頂いただけですよ」
和希さんが曇りのない笑顔で言う。頂いたのではなく盗んだのでは……。
「ほら、じゃあ行くぞ!」
そう言って、私達は神崎さんが呼んでくれた車に乗り込んだ。
そして、乗った後、私は皆に告げた。
「……ありがとう。すごく助かりました」
そう言ったら、皆笑顔で頷いてくれた。
星屑荘の前で運転手さんがおろしてくれる。神崎さんはまたあとで来ると言ってくれた。
先に4人が降り、私が後で降りた。
運転手さんと神崎さんに礼をする。振り返った時、門を開いて待っていてくれた。
「ど、どうしたの?」
「……お帰り、あゆみ」
一瞬、驚いたが、すぐ笑顔になれた。
「—ただいま、皆」
完
次回、ラストの章となります!
その次が番外編ラストです。
最後までお付き合い下さいませ<m(__)m>