コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 狼たちと同居中。 ( No.45 )
- 日時: 2013/02/10 11:34
- 名前: 朔良 (ID: 2IhC5/Vi)
【3章 続き】
皆がお弁当を持って行ったのか不安になっている時、いきなり私の名前が呼ばれた。
「あゆみちゃーん!」
可愛らしい声が2−Bに響く。声の主は園田リクだった。
「えっ…リク君?!」
「な、何であゆみに?!」
クラス中に動揺の声が響く。
当たり前だ。『王子四天王』と呼ばれる人がこんな平凡な私に声をかけたら、誰でも驚く。
「あゆみちゃん、お弁当ありー…」
ぬあーっ、それ言ったら本当に終わる!
「ま、待って! 今そっち行くから!」
早口でまくしたて、リク君を連れ、階段の裏へと向かった。
「リ、リク君、私たちが一緒に住んでるってばれたら、色々と大変なことになりますから!」
「何で?」
身長さがほとんどないリク君に見つめられる。
『女子たちの視線が怖いからです』
…なんて自分勝手なこと言えるかばかやろー。
でも本当にそんなことになったら、本当にやばい。
「ほら…、えと、高校生同士で同居中なんてかなりやばいじゃないですか?」
「うーん、まあそっか」
納得してくれて良かった…。(一安心)
「あ、それでお弁当ありがとね! 美味しかったよ!」
「そうですか、良かったです。…ほかの4人も持っていってましたか?」
一番気になっていたところを聞いてみる。
「うん。和希はメモにお礼書いてたよ。真も持っていってたし…、ああ、泉は持って行ってなかったかな」
う…。やっぱり。平井さんだけは持って行かないかなと思っていた。
「てゆうかさ、何で僕に敬語なの?」
「え…、そりゃ、同居させてもらっている身ですし…、敬語なのは当たり前じゃないですか?」
「僕、年下だよ?」
そうなのだが…さすがにタメ口はいけないと思う。
「でも、やっぱり敬語で…」
そう言ったら急にリク君は拗ねて、私の腕をつかみ、自分の方へ引っ張っていた。
「え…、なっ?!」
そんなことされたら動揺するのは当たり前だと思う。
「僕に敬語禁止。これ命令ね」
『命令』その縛りに緊張してしまう。
腕を離し、いつもの笑顔のリク君に戻る。
「…分かった?」
「は…、う、うん」
この男…、思っていたより狼だ。
第3章 完